第6話 出汁の無いおひたしを食ってみろ
最も新しい友人の好意には感謝するが、味覚が死んでいたとは言え日本人には拷問と言わざるを得ない食事だった。口から吐き出さず、なんとか嚥下した自分を褒めて欲しいものである。
正直、「使える」と言われている魔法で。「hey,s●ri」だとか「OK、g○○gle」、ア○クサだのコル○ナなど覚えのある名前全てで、「今すぐ人生終端のの交差点を曲がる魔法」ってググろうとしたのは言うまでもない。勿論、回答など無かった。地獄に落ちろ、多少神よ。
異世界でのタンパク質に絶望した訳だが、植物にも絶望したことを言わねばならない。というか、異世界へ転移しまくってる日本のラノベユーザー達へ、おまえら恵まれてるなとかうらやましいとか、爆死しろとか段々妬みが酷くなる。
もう、ハーレムがどうこうとかどうでもいい。コミュ障のくせして飯旨とかいう設定だけで、殺意がわきそうである。
なんでこんな事を改めて叫んでいるのかと言えば。植物はくたくたに煮込むのである、この街。
ああ、「飯マズ国」を踏襲してしまっているのか……と思ったのは、悪くないと思う。もっとも、あの国が飯マズなのは産業革命のせいだったはずだが。
この世界、何はともあれ、まずは「食べて死なないこと」が重要扱いされているのだ。勿論理由もある。
動物も植物も「とんちき」な人間やら襲ってくる存在がいて、身を守るついでにもったいないから的に喰う習慣になっている上に、それで栄養が足りてるからってなわけで……。
つまり喰って死なない方法としてのがっつり火を通すなのである。
さて、俺のかつての同胞諸氏よ。味をつけず、煮すぎた野菜を食べた事はあるかね?
ない? そう。それは大変幸せな事なんだと自分の経験に感謝しておくべきだ、と言っておこう。
その上で、人生経験したいなら、そうだ、もし実験するなら、ブロッコリーをお奨めするが、レシピなんかよりだいぶ長く煮てみるといい。
かろうじて形はのこっているが、青臭い匂いの柔らかい怪しいペースト一歩手前の物体になるから。
あるいは、くたくたになるまで、茹でたお浸しを出汁も醤油も鰹節もなしで、つまり旨み成分何一つ無い調理で食べると良いと思う。
そして、そんな状態の付け合わせを口にした俺の絶望感を、ご一緒に感じて欲しいとおもう。
食べられることを幸運に思う、そんな文化があるのは理解出来るが日本人には受け入れがたい文化なのだ。
くりかえす、受け入れたくないのだ。
まぁ、愚痴は多いんだが、ものに「そーぞーまほー」をつかって、手を加えればいくらかマシになるんだが、この頃はそんな事なんてまったく考えもつかず。
交差点を曲がってしまった自分の人生に絶望していたのだよね。
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