第4話 俺の飯は油魚様もビックリの事案だ
結局南極、食の大冒険をした所、俺が作れるのは味は良いかもしれないが、食えば必ず腹を壊すアブラソコムツもどきなわけである。台湾風に言うなら油魚である。食えば必ず腹を壊し、懐かしの飴ちゃんすらも、一個はまだ我慢できたが調子こいて食べた2個目でアウトだった。おっさん、車を止めてもらってすまんな。
まぁ、現代人的に一番役に立ちそうなのが、何で出来てるのかよく分からんトイレットペーパーもどきと、野外で思いっきりひっくり返しても割れない謎材質の例の牛丼屋の丼、お椀、小皿である。
焼き物文化があっても、割れない皿は売れるかもしれんな、案外。
しかし、自分の想像能力の低さに絶望している。
何かブレイクスルーが必要だとおもうが、正直思いつかない。常に想像するのは最強の自分、だとか。若い頃のエロハーレムの妄想してた自分を考えても、ハードルが高すぎるだろう、この『まほー』と言わざるを得ない。きっと、俺の苦戦する姿をみて、あの野郎指さして笑ってるに違いない。
*
さておき、第一遭遇異世界住人である、このおっさん。名前も日記に書いてなかったな。ローグルトっておっさんだったわけだ。だが、おっさんおっさん言ってたが年を聞いてみれば、おっさん度は俺の方がおっさんだった。この世界の連中、顔の彫りが深い上にヒゲを伸ばし放題なせいで老け顔が多いようである。
まぁ、金髪青眼とかいう、良くある物語的な美形なんかではなく、汚れた焦げ茶の髪にもじゃヒゲなお陰で、平たい顔族の日本人でも、いくらか引いた感じを受けずに済んでるのは幸いか。ジャパニーズビジネスマン的にヒゲを剃れば良かろうにと思うのだが、彼に言わせれば「いい大人がヒゲはやさず、整えてもないってのは大変ダサイ」だそうで。濃いひげを綺麗に生やしているのがダンディなんだそうだ。本当かよ?
まぁ、そんな与太話を聞きつつ、俺はヒゲが生え始めた中高生の頃に妙に気になってブチブチ抜きまくったせいで、伸ばしてもまだらヒゲなもんだから、あちゃぁなんて思ったりしてな。日本男子だと結構そういう奴も多いんじゃなかろうか。
*
まぁ、あそこで何してたんだと言われたので、
「ちょっと知り合いに紹介されてこっちへの旅の途中でね。腹が減ったんで買っておいた物を食ったら当たったのさ。ケチってまともな飯を用意してなかったのが失敗した」
「食い物はもったいないからって取っておく物じゃないぞ?」
「なかなか食えない生活をしてたら、そんなことも言ってられないって」
と、答えたらなんというか、スゴイ哀れみの目で見られたが、俺は悪くない。
そう、全て悪いのはあのブラック職場である。
*
おっさんの馬車には、山盛りの木材が乗っているわけだが、どう考えても都市で使うには少ない量だと思う。
「こんな在庫で大丈夫か?」
「大丈夫だ、問題ない」
と、どこぞのゲームの様な問答をしてみれば、魔法もあるらしいこの異世界。煮炊きに薪ってのはあまり主流ではないそうである。まぁ、普通に考えればそこら中禿げ山になりそうなもんだが、そんな馬鹿なって言いたくなるような速度で生えてる不思議植物もあるらしく、おっさんを含む木こりの連中が領主様指定で討伐というかそういうのをぶった切って薪にしているそうだ。
俺は大したことない木こりでなぁ、等と言っているが、その俺の太股ぐらいありそうな二の腕だけで十分だと思うんだがね。
もうじき、街も見えそうさ。まともな飯が食えればいいんだがな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます