第3話 小学5年生での出来事
教室に鳥が飛び込んでくるなんて、そうそうあるもんじゃないと思っていたけれど、
ぼくが小学5年生の時、またもや雀がぼくたちの教室に飛び込んできました。
今度は普通の授業中、バサバサバサッと教室の上を何かが通過していき、窓と反対側の壁の付近を飛び回っています。雀です。
教室は大騒ぎ!・・・・・・になると思いきや、意外と冷静です。
雀が暴れている場所の近くの席の子は、席を立って距離をを取り、様子を見ています。
その他の子は珍しい闖入者に興味しんしんです。
先生は、雀はすぐ出て行くから触らないように、と言って授業を進めようとしますが、さすがにそれどころではありません。
一方の雀は、パニックになっているのか、壁や天井にガンガンぶつかり、だんだん飛ぶ高度が下がっていき、最後には床に落ちてしまいました。
床で動かなくなった雀を、先生は机の上に敷いたティッシュの上に置き、
とにかく授業の時間中は授業をします、と、残り10分程度、授業を進めました。
そして休み時間、クラス中の生徒が先生の机の周りに集まってきました。
雀はというと、棒でつつかれても動かずに、目は半開きで既に死んでいるようにも見えました。
先生はこういう事は初めてらしく、どうしようかと考えています。
そこで、誰かが先生に『すずめの神社』の事を教えてあげました。
へえ、そういうのがあるんだ、と先生が言い、先生とクラスの子10人くらいで『すずめの神社』へ行くことになりました。
久しぶりに見た『すずめの神社』は、ずいぶんボロボロになっていました。
屋外の木材は雨などを吸い込んで黒くなり、マジックの文字も見え辛くなっていましたが、その鳥居は、まだそこに佇んでいました。
雀をなるべく直接触らないように、ティッシュごと鳥居の前に置き、後で全員手を洗うように注意を受けて、それから皆で手を合わせて何かを祈りました。
先生は、雀と鳥居に向かって手を合わせるぼくたちを見て、なんだか嬉しそうな顔をしているように思えました。
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