イカみの高み

パラレ☆ルイズ

イカみ学園

「おはおはおっはー」

クラスに入ると、おどけた調子で僕は言った。

だが、反応は無し。

いや、正確にはみんな俺のことを無視しているのだ。


ここはイカ人間としての基礎教養とスポーツ「ナワバリ」のプレイ技術を学ぶ学校。

公立校なので、正直ナワバリのウデマエは関係なく入学でき、生徒間のウデマエ差も様々だ。

かくいう自分はと言うと……ウデマエ適正C+。

この年齢の平均ウデマエはA-ってところなので、かなりの底辺ということになる。

だが、僕は別に「ナワバリ」に対して不真面目でもなければ知識がないわけでもない。

ぶっちゃけて言うと、「AIM力」のみが最底辺なのだ。

「ミル、おはよ」

唯一、返事をしてくれる女子がクラスに一人。

「やーやー、ヘロン。今日も朝練してきたの?」

「そうだけど、どうして?」

「ほら、インク……ついてるよ」

僕はハンカチで彼女の髪のインクを拭き取った。

「あ、ありがとう」

「いいってことよ。いつも実習で迷惑かけてばかりだしねー」

実習とはすなわちナワバリの実戦。2チームに分かれ、3分後にマップの塗り面積が多い方の勝ちというシンプルなルール。

もちろん、学び舎でプレイする以上、単に勝った負けたという結果だけを見るわけにはいかない。

プレイの内容を事細かに先生にチェックされ、クラスメイト同士でのプレイ評価シートも毎回書き、評価される。

「それは……練習すれば上手くなるよ。ミル君も努力してるんだし」

「そうだといいけど」

俺たちの会話には誰も入ってこない。

それはそうだ。俺は入学から最初のナワバリバトルで見事な下手っぷりを発揮して、クラスでチームを組みたくない奴No.1の烙印を押されたのだから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

イカみの高み パラレ☆ルイズ @parareruizu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る