ダンディー・H・ボイルド

@Dysuke

第1話ダンディー・H・ボイルド

…グブォォォォォン………


宇宙の片隅でまた一つの命が星となった…


ビィィ!ビィィ!ビィィ!

突如として船内のアラームが鳴り響く。

くそっ、ロックオンされたか!

とっさにチャフを放出し、操縦桿を全力で引いた。

グゥゥゥゥっと彼の全身がシートにへばりつく。

バシッバシッ!…っと頭上で何かが弾かれる音がした。

機体の方向が180%変わるとともに電子パネルに一瞬目をやる。

エネルギーシールドの残量は既に20%を切っていた。

潮時か………

彼はメインスラスターのブースターに点火をすると、戦線を一気に離脱した…


その約二時間後…

彼の姿は宇宙港のドックにあった。

コックピットの座席に座ったまま安物の葉巻をふかしている…

…フゥ………

…it's dandy………

電子パネルの情報が更新される…

”戦果の確認:小型戦闘機、撃墜5”

”合計2000万コスク。振り込みを行います”


彼の名前はダンディ・H・ボイルド。

凄腕の傭兵であり賞金稼ぎだ…


仕事を終えた彼は、ぶらりと街に降りていった…

街にある小川の近くで20歳くらいの可憐な少女を見かける。

彼は近づくと迷わず声をかけた。

「お嬢さん。私とお茶でもいかがですか」

すると彼女は、ヒィィ…っと悲鳴を漏らすと走り去っていった…

春のうららかな昼下がり…

彼は渋い顔をしながらポケットから葉巻を取り出し火をつける…

…スゥ…フゥー………

…broken heart………


彼の名前はダンディ・H・ボイルド。

強面で凄腕の傭兵であり賞金稼ぎだ…


傷ついた心の傷を癒やすため、裏路地のバーに顔を出す…

カウンターに行き、ボロ雑巾の様な顔をした馴染みのマスターにいつものやつを頼んだ…

…bourbon………

出てくる酒はいつだってしみったれた安物だ…

グラスを一気に煽り、傷ついた心を焼きつくす…


どれほど時間が経っただろう…

混沌とする世界を彷徨い、スラムの穴倉のようなねぐらに転がり込む…

ろくに換気の出来ないこの部屋はいつだって淀んでいる…

埃を被ったベッドにその身を投げ出し、そのまま闇の世界へと旅立っていった…


彼は貧乏なのだろうか?

いや、むしろ金持ちだ。

彼がこの部屋に住み続ける理由はただ一つ…

…so hard boiled………


そう…

彼の名前はダンディ・H・ボイルド。

dandy & hard boiled を心から愛する強面で凄腕の傭兵であり賞金稼ぎだ。


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