第17話 わが家のペット事情・その2
===
2016年4月
わが家の団地は玄関ポーチがあり、ドアが廊下から1mほど奥まった場所にある。
ある夜その入り口に大きな蜘蛛の巣が出来ていた。頭を下げないと引っかかりそうなくらいおもっきし通路を塞いでいる。
本当に立派な巣だ。惚れ惚れする。
よく観察する為に霧吹きで水をかけてみた。
霧の粒が電灯の光に輝いてよりいっそう美しい…………巣が溶けた。
え、な、何故?
蜘蛛の巣って普通雨に濡れても大丈夫だよね?
まさか水道水のせい?それともファブリーズの入れ物使ったせい?
なんかすごくごめんなさい!!!
罪悪感に苛まれる中、蜘蛛が出てきてせっせと横糸を修復する。
その姿があんまり健気でいじらしかったので、もう何回か霧吹きを繰り返して綺麗な露に濡れる巣と働き者の蜘蛛の姿を堪能する鬼畜なしらず。
罪悪感など欲望の前には無力である。
私:「このクモをわが家の一員にしよう!」
父:「じゃあ名前は「クモ隠才蔵」にしよう。それで市川へび蔵君と中と外から玄関を守ってもらおう」
私:「よ~し才蔵~、これから番クモとしてわが家から悪者を追い払うんだよ~」
悪者と一緒に郵便屋さんや管理人さんも追い払われる気がするが・・・まあ細かいことは気にしない。
翌日、才蔵は管理人さんにより巣ごときれいに追い払われていた。
私:「しまったぁぁ!表札を作っておくべきだったかーーッ!!」
人類の傲慢の前に小さな虫のなんと無力なことよ……!
才蔵君をわが家の一員にできなかったことは今でも残念でならない。
いやもしかしたら自分からお引越しちゃったのかもしれないけれども。
……ちょっといぢめすぎちゃったかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます