第14話「ただ歳を取ればいい訳じゃない。問題は良い歳の取り方をしたかってことなんだ」
――ただ歳を取ればいい訳じゃない。問題は良い歳の取り方をしたかってことなんだ。
父
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2016年4月
引き続き雑談中。
私:「そういえば、高校生の時の考えの中で一つ誤算があったんだ。『きっと何年かたったら自分も高校生に戻りたいとか思うんだろうな』って、考えてたんだけど」
父:「ああ、よく言う人いるよね。戻ったって自分が変わらなきゃなんも意味ないけどね」
ズバッと言ったな。
私:「それ私と同じ意見だ(笑)ちょうどこの間書いたところなんだけどさ」
父に12話を読み聞かせてみる。
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父:「そこに出てくる大人だけど、昔にもっとやってればって思う人は結局なんにもやんない人なんだよな」
私:「ああ、確かにそうなのかも」
父:「本当にそう思う人は思った時から頑張るんだよ」
私:「そうだよね。本当に後悔してるなら今からでも努力を始めてるから、結果過去に戻ろうなんて考えないんだよ。未来を頑張る人は「いつ」からでもそれをするはずじゃん。私もそれが言いたかったのかもしんない」
父:「ちょっと話ズレるけど昔『赤っ恥青っ恥』っていうクイズ番組があって」
私:「うん、覚えてるよ」
父:「で、一般人に問題を出して誰の答えが合ってるかをスタジオの芸能人が当てるってのだったんだけど。芸能人たちが「この人はお歳も召していて人生経験が深いだろうから、色々な事を知っているだろうから正解のはず」っていうのをよく見かけたけどね。お父さんは逆だと思うんだ。頭が悪いまま生きてきた人はそのまま年取るだけなんだよ。頭が悪いってのは勉強が出来るとかいうことじゃないよ」
うんうん、わかるわかる。
父:「この間道を歩いていたらいい歳したじーさんがいきなり「ショカン、ショカン」って言ってきて、何かと思ったら職安ていってたの。で必死に聞き取ってここですよって教えてやったら礼のひとつもせずにふいって行っちゃったんだよ。そんないい歳して礼儀も身に付けてないようなじーさんを雇うような会社があるわけがない!だからいくら年を取ろうが駄目なやつは駄目なんだよ」
私:「お怒りだね(笑)」
父:「だって全然何言ってるか判んないんだから。「ショカン、ショカン」しか言わないし。でやっと解読して場所を教えたらスタスタ行っちゃうんだから!」
私:「災難だったね(笑)」
父:「んーとなんだっけ?つまり、ただ歳を取ればいい訳じゃない。問題は良い歳の取り方をしたかってことなんだ!父ちゃんはそれが言いたいんだ!」
私:「なるほどその通りだ!」
===
父:「……で、何の話だったっけ?」
私:「昔に戻りたいかって話の途中だったけど」
父:「ああそうだったね」
私:「前はやっぱり戻りたいなぁって思ってたんだよね。そもそも私一番戻りたいのは保育園だと学生の頃から主張し続けてたんだけど。次が高校ね」
父:「保育園て、そんな戻っちゃうの!?」
私:「毎日食う寝る遊ぶだけとか最高じゃん!」
父:「父ちゃんはやっぱり高校が楽しかったな」
私:「うんうん、だろうねぇ…。でもね、今は別に戻りたくないんだよね」
父:「どうして?」
私:「私一度書いた文章は同じものが書けないからさ。今ある自分の小説に出会えないなら、二度と書くことも読むことも出来なくなるくらいなら絶対に戻りたくないって思った」
父:「なるほどね……」
「父ちゃんもだな」と、何気なくそう呟いた。
作曲した自分の作品たちに思いを馳せていたんだろうか。
そうした価値観が近いから、父ちゃんとの雑談はいつも楽しい。
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