第13話
ということでその日の放課後は生徒会室にも行かず(明日香にはちょっと先生に相談したいことあるって伝えて)準備室へ。
今回は正直、前回の心へのダメージが大きいので何もしない方向で行きましょう。
いつもはノックなんてしないけど、気分的に今回はドアをノックしてから。
「はい、どうぞ」
「しつれーします、せんせー」
その何しに来たって顔、いつも通りだから特に驚きはしませんよ。
「今日の朝の居眠りを謝りに来たんですか?」
それは違います。
「先生は私がそんな殊勝なことするように見えます?」
我ながら先生に喧嘩売るようなこと言ってるけど、先生も先生でそこでどうでもよさそうな顔しないでください。
「そうですね。あなたがそんな生徒じゃないのは百も承知です。とりあえず中に入りなさいな」
そう言いながら先生は席を立ち、お茶を用意しようと電気ポッドの前へ。
「それで、用事はなんですか?」
湯のみに光をかざしてホコリのチェックをする先生。
そんなこと私気にしませんけどね。
「何というか、その、先生に相談がありまして」
「勉強とか進路のことなら役に立てると思うけど、その他の私生活、プライベートなことはきっと役に立たないよ。特に恋愛方面なんて以ての外だね」
先生に恋愛方面の相談なんかする馬鹿はこの学校にはいませんって。
「いえ、恋愛のことでもないですし、別に役に立たなくてもいいんです。一つの突破口になればいいなぁ、ってだけの話で」
怪訝な目で私を見つめる先生。
それでも真面目な話だというのは理解してくれたらしい。
どうぞ、と言ってお茶が私の前に差し出される。
先生自身も一口、お茶に口をつけて。
「どうぞ、どんな話なのかな」
ま、今週はお遊び週間ですから、言っちゃいましょうか。
「先生は私がこの一週間を繰り返してる、って言ったらどうします?」
「どうするもこうするも、まずは信じられないって感想しか言えないよ。だから、キリタニくんの今の希望に応えるには、一つ選んで貰わなければいけない。この後の話、僕はその話を信じている前提で話すか、信じていない前提で話すか、どちらかを選んでもらうしかね」
本来なら今日は種を蒔いて(未来を予言して)明日にこの話をするのが普通なんだけど、一日目に言うとこういう反応がくるんだね。
一つ視野が広がった。
「そりゃあもちろん、私の言うことは全て真実だって前提で話をして欲しいですよ」
私がそう言うと、先生は頷き、小さく「わかった」と答える。
その顔を見て私は話し始める。
今まで私がやってきたことを。
もちろん時間の都合上、かいつまんで伝えております。
一通り話して、私は再度問いかける。
「先生は、どうすれば私は前に進めると思いますか?」
準備室を沈黙が支配する。
その沈黙がやけに長く感じる。
それでも私は待つ、いつまでも。
その時に言われた言葉は私の胸だけにしまっておくことにする。
正直に言ってしまえば他愛のない、具体的なことなんてなんもない言葉だった。
それでも私は、その言葉に意味を持たせてしまった。
そうしなければ、きっと私はどこかで壊れてしまいそうだったから。
こうやってまた一週間が進んでいく。
この不確定で確定的な一週間が。
さて、次はどんな展開が待っているんでしょうね。
ノーアンサー・ノーライフ @asetonn
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