第一発見者はあなた

 熱が出て一人で寝てたら、このまま死ぬのかなって思う。動く気力もないし、二度とわかないと思う。


 大げさだけど、死んだら第一発見者は誰だろうと考えてしまう。


 会社から実家に連絡とか…かな。


 お母さん、迷わないかな。引越しの時に一回車で来ただけだもんね。


 大学生の時のとこなら、田舎だから分かりやすかったけど。


 …実家に連絡する前に総務部の里崎さんとか来るのかな?あの人、少し私のこと気にいってるよね。関係ないけど。


 パジャマ姿見られるのやだな。お母さんがいい。


 でも、お母さんショックか、って…考えるのもだるーい。


 だるくて、暗くて、何もかもが混ざってくる。


 「カチャ」


 暗闇で玄関が空いた。死神かな?鍵開けてるのかな?


「大丈夫?ご飯と薬買ってきたよ」


知ってる声。私は思い当たる名前を呼びかける

「里崎さん…?」


「何?それ?」

男は部屋に入りながら言った

「付き合う前みたい」


「今、第一発見者は総務部の里崎さんかなって思ってた」


「また、その話。前も言ってた」

男は枕元に座りながら言った。

「ちゃんとお見舞いに来てくれる彼氏がいて良かったね」


「うん、風邪引いたときはそう思う」

「帰るよ」

「嘘。ごめん。愛してる」調子よく私はつぶやく。

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今ここにある、幸せの瞬間を一緒に 相川青 @aikawaao

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