(六)書き手もいいけど「レビュアー」もね。

 ここカクヨムで、良い作品に当たれるか否かについて考えると、自分で掘り返す発掘作業の他には、「良いレビュアーを見つける」ことが肝要ではないかな。

 どうもシステム的には「作品」ばかりが強調されるここ『カクヨム』なのだが、大事なのは人間の方だと思う。


 幸い、カクヨムではシステム上、「レビューは常にプラス評価」が前提になっている(実践において異なる使い方は排除されないものの)。面白いものを探しあてるためには、自分と趣味や好みの近いレビュアーを発見することが早道だろう。


 レビュー・レビュアーを探す時に大事なのは、ただ自分と同意見ばかり探してはいけないということだ。「面白い」という評価は同じだが、「どこを面白いと言っているのか」が違うレビュー、そういうのを探して読んでみて欲しい。ひとまず、自分が高く評価した作品についた、他のレビューをつぶさに読んでみるのがいいだろう。きっと「違う意見」での高評価も見つけられるはずだ。

 そうした「違う意見」に触れ、反芻して作品を読み返してみるなどすれば、それは読み手としても、書き手としての自分も、成長することに繋がっていくと思う。新しい切り口を学ぶのは、いつだって楽しいものだから。


 良さげなレビュアーを発見したら、その人のページへ行って、その人がつけている別の作品レビューを辿っていくと、まだ見ぬ「面白い作品」と出会えるのではないか。個人的にはそうやって、幾つか印象的な作品と出会えた。

 また、実のところ読むことと書くことは繋がっていて、良き書き手とは良き読み手でもあることが多い。良いレビュアーが小説を書いていれば、その作品自体が、得がたい出会いになることも多かろうと思う。その時は、「レビューで学んだ経験」を活かして作品を読み取ってみていただきたい。


 レビューというものは、このように読者にとってありがたいものであるのだが、一方で作者にとっても、もちろん有益この上ない存在になる。

 良いレビューは、作者自身が思いも寄らない「意味」を、作品から切り抜いてくることがある。作者が意図しないからといって、それは決して悪いことではない。作者はそこから、自分でも分からなかった自身の特徴を新たに自覚し、それを伸ばそうとすることが出来る。また、「ああ書くことで、そういう見せ方が出来るものなのか」という学びも得られる。次の執筆からは、意図せず現れていた演出効果を意図して入れられるようになるのだ。良いこと尽くしである。


 出来うれば、そうした良いレビュアーがたくさん『カクヨム』に現れて、まだ見ぬ作品の発掘や、新しい読み方の提示などに力を振るってくれるようになれば、と願っている。もちろん、良いレビュアーとは、「出現を待つ」だけのものではなく、「あなたがそうなる」ことも出来るのである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る