現実味のないストーリーなのに、情景が目に浮かぶ細やかな描写ではじまる。中盤から最後まで一気に読ませて不思議な印象を残す、愛や永遠とはなにかを考えさせられる綺麗で悲しい物語。とても良かったです。
人類の追い求める永遠のテーマである不老不死。それを手に入れた恋人達の切なくも優しい、そしてちょっと不思議な物語です。作中で時系列が結構変わるので、少し分かりにくいところもありますが、全体的にはかなり読みやすく仕上がっています。悲しいストーリーにも関わらず、読後感は悪くなく、むしろ爽やかという不思議な作品でした。「滅びた世界に恋人が二人」的な世界観は、かなり好きです。
特に中盤から終盤に至るまでの描写は読まないと損。永遠を欲した恋人たちの、千年の記録。読んでよかったです。
情景描写もあいまって、さながら砂のようにさらさらと儚い、それでいて綺麗な物語でした。