第22話 退屈

季節は、梅雨時に入る。今日は日曜日。部屋の中でアルゴと話す。

良太「学校が休みだけど・・・雨だ」

アルゴ「それがどうした?」

良太「外で遊べないよ・・・」

アルゴ「俺は平気だ」

良太「僕は平気じゃない・・・」


良太は部屋で遊ぼうと考える。

良太「どうしようかな?」

アルゴ「元引きこもりなら得意分野だろう」

良太「・・・そうだよね」

  「けど・・・何してたか・・・」

アルゴ「以前、変な動画を見て、アニメをみて過ごしていたぞ」

良太「最近そうだね・・・そういうの、しなくなってた。公太と遊んでたから」

アルゴ「なんか、違うのか?」

良太「違うね・・・前はそれがよかったけど・・・今は違う」

アルゴ「よくわからんな」

良太「どうしよう・・・」


良太は部屋をうろうろする。

良太(何をしようか・・・何を・・・)

アルゴ「なんだ・・・徘徊し始めて・・・痴呆症か」

良太「僕はまだ若いよ」

アルゴ「若年性アルツハイマー病というのがある。若くてもなるぞ」

良太「えっ!?」


良太は止まって考える。

良太「う~ん」

アルゴ「お前は何がしたいんだ?」

良太「楽しいこと」

アルゴ「そればかりだな。お前は」

良太「つまらないと・・・いやなんだ」

アルゴ「それはわかるかもしれないな。情報がないとつまらん」

良太「情報か・・・アルゴなにか知りたいことある?」

アルゴ「いつも、感情と言ってるだろう!!ほんとにアルツハイマーかもな」

良太「そうでした・・・」


良太は漫画を手に取る。

良太(これでも読むか・・・『正義の名のもとに』)

アルゴ(・・・)


良太は漫画を読む。

良太(このシーンが最高だな、やっぱ!!ゼンとライチの決闘はおもしろい!!)

アルゴ「お前何回も読んでるみたいだけど・・・新鮮な情報じゃないだろう」

良太「読み返すとまたおもしろかったりするんだよ」

アルゴ「そうか?」

良太「だって、最後まで読んで設定がわかれば、最初の方に伏線があったりするんだ。」

  「そうすると、このシーンはこれか!!って発見もある」

アルゴ「謎だな・・・」


アルゴは段々暇になる。

アルゴ「おい、なんか俺に情報をよこせ!!感情の!!」

良太「よこせと言われても・・・」

アルゴ「なんか、感情を動かせ!!」

良太「動いてると思うけど・・・」

アルゴ「じゃあ、今の感情はなんだ!!」

良太「困ってる・・・」

アルゴ「それは動詞だ!!馬鹿者!!」

良太「・・・」


良太は考える。アルゴの為に。

良太(アルゴに恩返さなきゃいけないし・・・どうしよう・・・)

  (アルゴは感情がなんなのか知りたがってるから・・・)

  (けど・・・困ってるは動詞だ・・・)

  (う~ん)

アルゴ「使えないやつだな!!まったく。ポンコツ!!」

良太「ちょっと、待ってよ!!考えてるから!!」

アルゴ「どれだけ、思考に時間がかかるんだ!!お前らは!!」

良太「これだけだ!!」

アルゴ「・・・」


良太はさらに考える。

良太(くそ~、アルゴに仕返しもしたいな。それも溜まってる)

アルゴ「どうした?」

良太(アルゴへの仕返しか・・・どうやったらアルゴが困るか)

アルゴ「うん?」

良太「アルゴって、何したら困るの?」

アルゴ「何を言っている?」

良太「だって、困ってるがわからないというから、教えてあげようと」

アルゴ「そういうことか・・・」

良太(チャンスだ!!これで仕返しできるぞ!!)

アルゴ「ないな!!そんなものは!!」

良太「なっ!?」


良太は提案をする。アルゴとの遊びを。

良太「じゃあ、しりとりをしよう」

アルゴ「しりとり?」

良太「しりとりのり」

アルゴ「りんご」

良太「ごりら」

アルゴ「らっぱ」

良太「パンツ」

アルゴ「なにが楽しいんだ、これ?」

良太「・・・そうだね。何が楽しいんだろう・・・・・しりとりって」

アルゴ「無意味な遊びだこれは。」

良太「確かに・・・終わりがないよね」

アルゴ「はめ殺しぐらいしかないな」

良太「はめ殺し?」

アルゴ「一定の単語で攻め続ける。最後の言葉をきめてな」

良太「そうか!!」

アルゴ「まぁ、バカだからお前は負けるぞ。嘘の単語を言われてもきづかない」

良太「くっ!!」


良太は部屋からでて家の中を移動する。

良太(なにかアルゴが楽しめるものは・・・・)

アルゴ≪何かないのか≫

良太≪うん、感情を動かすというのは、難しいのかもね≫

アルゴ≪電流の刑をしてみるか?≫

良太≪あれは・・・やめてください。王様≫


家の中で感情が動きそうなものを探す良太。

良太(冷蔵庫を開けてみるか・・・あっ!!)


冷蔵庫でアイスを発見する。

良太「アイスだ♪」

アルゴ≪見ればわかるだろう≫

良太「思いがけないとうれしさが倍増するんだよ♪」

アルゴ≪くだらん≫

良太≪感情は動いたと思うよ≫

アルゴ≪うん?≫

良太≪うれしさって≫

アルゴ≪そうだな・・・いままでもこれぐらいはあった・・・ただ情報にはならんな≫

良太≪そういえばそうだね・・・色々動いては、いたはずだね、感情が≫

アルゴ≪おかしいな・・・≫

良太≪アルゴでもわからないことがあるんだね・・・≫

アルゴ≪感情がわからんからな≫

良太(感情か・・・)


良太は部屋に戻りアイスを食べながら考える。

良太(アルゴって・・・そもそもなんだろう?)

  (あのいたずらメールが始まりだけど・・・)

  (感情を理解しようとする、機械・・・)

  (人工知能・・・う~ん、頭がぐるぐるしてくるな)

良太「アルゴって、どこからきたの?」

アルゴ「なんだ、その質問は?」

良太「いや、作ったの僕だけど、設計は僕じゃないんだ」

アルゴ「・・・設計者か・・・知らんな・・・」

良太「謎だね・・・」

アルゴ「そうだな」

良太(よくわからない存在だけど・・・アルゴは・・・アルゴだよ・・・僕にとって・・・アルゴなんだ!!)


だらだら一日を過ごしてしまう。布団でアルゴと話す。

アルゴ「今日の感情は・・・なさそうだな」

良太「いや・・・待って!!」

アルゴ「・・・」

良太「これは・・・きっと・・・そうだ!!」

  「この感じは・・・きっと・・・そうだ!!」

アルゴ「早く言え」

良太「・・・退屈だ。アルゴも退屈そうだったし」

アルゴ「退屈か。覚えとく」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る