第21話 情熱
まだ、春の物語。道徳の授業が行われる。
先生「今日は、みんなで議論しよう」
生徒「は~い」
先生「じゃあ、学級委員前にでてきてくれ」
良太「・・・はい」
良太と美紀が前に立つ。
先生「今日のテーマはいじめについてだ」
良太「えっ・・・・」
美紀「それは・・・」
先生「みんなで議論してほしい。じゃあ、始めてくれ」
公太「・・・・」
美紀が心配そうに良太に尋ねる。
美紀「大丈夫?良太君・・・」
良太「・・・大丈夫だと思う」
アルゴ≪その件は解決したんだろう≫
良太≪そうだったね・・・≫
議論が生徒達で始まる。先生は議論を見守る。
良太「どうしようか・・・・」
美紀「じゃあ、まずは・・・いじめはいいことなのか・・・わるいことなのか」
公太「悪いに決まってる!!」
生徒「そうだ、そうだ!!」
良太「・・・良くないよね・・・いじめは」
美紀「私もそう思う」
ただ、それでは議論にならないので、美紀は次の話題を考える。
美紀「いじめは・・・なぜ悪いのか・・・を話し合いましょう」
良太「そうだね」
生徒「なぜって・・・」
公太「悪いからだ!!」
美紀「それじゃあ、議論にならないでしょ!!」
公太「・・・・とても・・・悪いからだ・・・」
アルゴ≪別に悪いことでもないだろう≫
良太≪えっ?≫
アルゴ≪強いものが生き残って弱いものが淘汰されていくそれが、進化だ≫
良太≪けど・・・弱いものはどうすればいいの・・・?≫
アルゴ≪さぁな。隠れて生き延びればいいんじゃないか≫
良太≪・・・≫
良太がみんなに向かって、話始める。
良太「別に悪いことでもない!!」
生徒達「えっ!?」
良太「強いものが生き残って弱いものが淘汰されていくそれが、進化だ!!」
「弱いものは、隠れて生き延びればいいんじゃないか!!」
先生「!?」
美紀「それだと、弱い人はだめってことになるよ!!」
公太「そうだ!!良太!!何言ってんだ!!」
アルゴ≪お前、何やってんだ?≫
良太≪アルゴの代わりに僕がしゃべったんだ≫
アルゴ≪ほ~、おもしろそうだな。じゃあ、続けてもらうか≫
良太はアルゴの言葉をみんなに話す。
良太「いじめられるやつも悪い!!弱いことをいいことに被害者ぶっている!!」
生徒「おい!!言いすぎだぞ!!」
先生「ちょ・・・」
良太「強くなろうとしない!!弱い奴は淘汰されて当然だ!!」
「もともと種の起源として、強い遺伝子を残す役目がある!!」
「それが、本能というものだろう!!お前たちの!!」
アルゴ≪そうだ、続けろ≫
先生「・・・」(妙に説得力があるな・・・)
良太「そもそも、何が傷ついただ!!お前らの感情というものはほんとくだらない!!」
「少しのことで動揺して、落ち込んで、喜んで!!」
「まったく、合理的ではない!!」
美紀「それは違うわ!!」
美紀「感情がなければ、何も感じなくなってしまうわ!!」
生徒「そうだ!!弱い奴が悪かったら・・・悪かったら・・・いじめてもいいことになっちゃうだろう!!」
良太「じゃあ、何故いじめる!!」
公太「えっ?」
良太「なぜ、人が人をいじめる!!」
先生「・・・」(こんなやつだったのか・・・良太って)
みんな考え始める。なぜいじめるのかを。
良太「どうした!!誰も何も言わないのか!!」
美紀「人が人をいじめるって・・・」
良太「だって、そうだろう!!いじめは現に起きている!!この瞬間にもだ!!」
美紀「そうだけど・・・」
生徒「・・・」
先生「そうだな・・・起きてる良太!!」
先生が議論に参加し始める。生徒たちは二人の議論のやりとりを見ている。
先生「人は人をいじめる生き物かもしれない!!」
良太「そうだ!!」
先生「けど、人をいじめたくないと思う生き物だ」
良太「なんだと?」
先生「だって、全員がいじめてたら、人は増えない」
良太「それはそうだな」
先生「お前のいう通り、いじめは起きてる。ただ、失くしたいとも思ってる」
良太「けど、なくらないだろうな」
先生「そうかもな・・・」
良太「何故なら、お前らには勝手に傷つく機能があるからな」
先生「機能?」
良太(まずいか・・・)
アルゴ≪続けろ!!≫
良太「そいつが、いじめと認識をしてないもので、勝手に傷ついたという被害者もいる」
先生「・・・」
良太「どれがいじめか!!境界線があいまいなんだ!!」
「だから、おかしいことになる!!」
「しっかり、境界線を引くべきなんだ!!ここからはいじめだと!!」
先生「そうだな・・・」
良太の一人の演説に近いものになっていた。
美紀「それでも・・・私は間違ってると思う」
良太「論理的にしゃべれ」
美紀「うまくはしゃべれないけど・・・」
公太「良太・・・」(どうしたんだ・・・お前はいじめられたことがあっただろう)
良太は話す。アルゴと。
良太≪アルゴありがとう。ここからは僕の意思で話す≫
アルゴ≪あいつらもう言い返してこないからな≫
良太が話始める。生徒たちはざわつく。
良太「みんなごめん、言い方がきつくて」
美紀「えっ?」
良太「みんな、聞いて欲しい!!僕はいじめにあったことがある!!」
生徒「えっ」
良太「だから、不登校だったんだ!!」
公太「・・・」
良太が話を続ける。
良太「確かに僕が勝手に傷ついただけかもしれない・・・」
「被害者ぶってたのかもしれない・・・」
「あれが、ほんとにいじめだったのかもわからない」
アルゴ≪あいかわらず、めちゃくちゃだな・・・お前は≫
良太「けど、傷ついたんだ。体が動かなくなった」
美紀「良太君・・・」
良太「知らないうちに誰かを傷つけてしまうのかもしれない」
先生「良太・・」
良太「それが、いじめかもしれない・・・悪意がなかったりするのかもしれない」
公太「・・・」
良太「だから、傷ついた人も言わなきゃいけないんだと思う!!」
「やめてって!!傷ついたって!!」
「それでやめなきゃ、いじめだと僕はおもう!!」
「僕はあの時・・・それをちゃんと言わなかったんだ・・・」
生徒「・・・」
良太「あと、傷つけてたら・・・謝ればいいとおもう。」
「ごめんって」
先生「そうだな」
アルゴ≪それがお前の境界線か・・・まぁまぁだな≫
良太≪アルゴのおかげだよ・・・僕一人じゃ全然考えつかなかった・・・≫
公太が手を挙げる。
公太「周りで見て見ぬ振りする奴もおれは同罪だと思う」
良太「えっ?」
公太「あきらかにわかるときは、俺は止める!!」
良太「公太・・・」
公太「暴力はいけないことだとは思う・・・ただ、その時俺は暴力を使う多分」
先生「それはだめだ!!」
公太「俺は馬鹿だから、教えて欲しい!!どうすればいいか!!みんなに!!」
生徒「止めるのはどうだ!!」
美紀「取り押さえる・・・」
良太「・・・」
先生「これを言うとあまり学校にいい顔はされないがな・・・」
先生が話始める。
先生「まずは、教師に相談しろ!!」
「それでも、学校に抑えられて大人がうまく動けない時がある。情けないがな・・・」
「その次は親に相談しろ!!」
「それでも、だめなら、いじめ相談室だ」
「それでも、だめなら、教育委員会というものがある。そこに言え!!」
「ここの学校はいじめを隠す、最悪な環境の学校ですと!!」
「それでもだめだったら・・・俺に相談しろ!!一緒に考える!!方法を!!」
良太「そうか・・・そういう方法もあるんだ」
アルゴ≪権力の活用だな≫
先生「まず、大事なのは生きることだ」
「それ以外は特に重要じゃないと俺は思ってる」
「だから、学校のせいで死にたいと思うやつは」
「学校を変えればいい。転校しろ。」
「別にここだけがお前らの居場所じゃない。」
「世界は広いんだ。」
良太「そう思います。だって、世界にはいろんなひとがいるから。公太みたいなやつとか」
公太「///」
良太「どこかに自分を受け入れてくれる場所があると僕も思います!!」
美紀「良太君・・」
良太「そうか・・・生きるのが重要なんだ、きっと!!」
アルゴ≪あたりまえだ。死んだら終わりだ。≫
良太≪そうだね♪≫
生徒達「そうか・・・色々あるんだな」
チャイムの音が聞こえる。いつの間にか終業を迎えていた。
先生「熱くなってしまった・・・」
良太「そうですね。僕は我を忘れてました」
先生「お前はすごい奴かもな良太!!びっくりしたぞ」
良太「すごいのは僕じゃないんです・・・」
先生「?」
良太≪すごいのはアルゴだよ≫
アルゴ≪わかりきったことを≫
布団でアルゴと話す。
アルゴ「今日の感情はどうなんだ?」
良太「なんだろうな・・・熱くなってしまった・・・我を忘れて・・・」
「情熱かな!!」
アルゴ「情熱か。覚えとく」
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