第17話 不安

年が明け新年を迎えた。良太は初詣に行く。ドアの前に立つ。

母親「いってらっしゃい」

良太「うん」

アルゴ≪開けるぞ≫

良太≪どうぞ≫


外に出る良太。近くの神社を目指す。

良太「うぅ、寒い」

アルゴ≪気温が低いからな≫

良太≪そうだね≫

アルゴ≪俺にはわからんがな≫

良太≪けど、機械って色々処理してると、熱くなったりするよ≫

アルゴ≪上限温度はある。それを超えることはない≫

良太≪ふ~ん≫


神社の前には二人が待っていた。

公太「あけおめ」

美紀「あけましておめでとう♪良太君」

良太「あけましておめでとう。今年もよろしくね」

美紀「こちらこそ♪」


神社でお賽銭をいれる。願いを神に伝える。

公太(消防士になれますように!!)

美紀(良太君ともっと仲良くなれますように!!)

良太(アルゴがもっとやさしくなりますように!!)

アルゴ≪おい、しつけだ。手は抜かないぞ!!≫

良太≪わかってます・・・ご主人様≫


おみくじをひく三人。3人は様々な反応をみせる。

公太「よし、大吉だ!!」

美紀「う~ん、中吉か・・・」

良太「・・・・凶だ」

公太・美紀「えっ!?」

公太「すごいな!!凶とか初めてみたぞ!!」

美紀「・・・けど、これ以上は悪くならないから」

良太「・・・そうだね」

アルゴ≪人間っていうのは、そんなものでどうして喜んだりするんだ?≫

良太≪えっ?だって、先の運勢がわかるんだよ≫

アルゴ≪わかるわけがない。お前らの選択肢は無数にある。≫

   ≪たまに、する・しないの二択とか考えるやつらがいるが≫

   ≪何を?と主語をつけると、無数になるんだ≫

   ≪お前らの人生の先など、計算不可能なんだ≫

良太≪そうか・・・アルゴ・・・ありがとう!!≫

アルゴ≪うん?≫


そして、3人で甘酒を飲む。

公太「うまい!!」

美紀「う~ん、酒かすって苦手かも・・・」

良太「なんで、お酒なんだろうね。未成年は飲んじゃいけないのに」

アルゴ≪アルコールの成分が1パーセント未満なら、未成年でも飲んで平気だ≫

良太≪さすが・・・アルゴ先生≫


良太の家へ移動する。3人。

公太「あのゲームの続きをやんなきゃな♪」

良太「公太は意外とゲーム好きだね」

公太「悪い奴を倒すのはいい♪」

美紀「あんたは・・・安直ね」

公太「アンチョコ?」

良太「安直だよ・・・」

(あんちょこって・・・どんなチョコレートなんだろう。あんことチョコレート・・・)

アルゴ≪あんちょこでも意味は通るぞ≫

良太≪えっ!?≫

アルゴ≪あんちょことは、安直が変化した言葉だ。ガイドブックや虎の巻がそれにあたる≫

良太≪そうなんですね。なんでも知ってるね、アルゴは♪≫

アルゴ≪調べられることはな≫

良太≪う~ん。頑張ります≫


良太たちは家に上がる。

母親「あら、公太君とみきちゃんいらっしゃい♪」

公太「あけましておめでとうございます」

美紀「あけましておめでとう、ご、ございます」

母親「あけましておめでとう♪今年もよろしくね♪」

良太「ただいま♪」


公太はさっそくゲームに取り掛かる。美紀は良太の部屋に初めてあがる。

美紀(ここが良太君の部屋か・・・)

公太「いくぞ、悪者め♪」

良太「じゃあ、飲み物とってくるね」

美紀「ありがとう///」(新年そうそう、いいことが・・・中吉最高!!)


良太は飲み物を冷蔵庫から取り出そうとする。こぼす。

良太「あ・・・・・」


床を雑巾で拭き、コップをとろうとする。コップを落とす。割れてしまう。

良太「・・・・」(これは・・・凶の影響なのか・・・)

アルゴ≪バカげてる。お前が不注意なんだ≫

良太≪・・・そうです≫

アルゴ≪プラセボ効果だな。自己暗示の一種だ。お前が悪いと思えば、悪いことが起こった時、おみくじを信じてしまう。どんどん、それが続くぞ≫

良太≪なっ!?≫


良太は部屋に戻る。良太は集中する。

良太(いいことを考えなきゃ・・・いいことを)

美紀「良太君どうしたの?」

良太「いや・・・イメージを固めてるんだ。いいイメージを」

公太「時たま、良太は考え込むよな。」

良太「・・・そうかも」(アルゴのせいだけど・・・)

アルゴ≪俺のせいではない。お前が馬鹿なだけだ。≫

良太≪こうやって話してると、難しいんだよ≫

アルゴ≪だって、馬鹿だからな≫

良太≪ぐっ!?≫

美紀(確かに時たま・・・表情がコロコロ変わったりするな・・・何を考えてるんだろう?)


良太たちはトランプをやる。

公太「また勝った!!」

美紀「くそ~、公太に負けるとなんか悔しい」

良太「また・・・ビリだ」

公太「う~ん、お願いは何にしようかな?」

良太「・・・」

公太「じゃあ、」

良太「・・・」

公太「俺の友達でずっといること!!」

良太「・・・簡単だ!!」

美紀「・・・」(いいな・・・私もお願いしたい・・・良太君に・・・)

アルゴ≪全然、罰ゲームになってないな≫

良太≪ふふふ♪≫

アルゴ≪俺だったら、電流を流しまくってる。しつけするために≫

   ≪一生逆らわないというのもありだな!!≫

良太≪アルゴとは・・・ゲームしないよ・・・絶対!!≫


そうして、あっという間に時が過ぎ、二人が帰る。湯船に入る良太。

良太(今日も遊んだな♪楽しかったし♪おみくじなんて嘘っぱちだ!!)

良太「ぎゃあーーーーーーーーー!」

母親「!?」


母親がすぐさま駆けつける。

母親「どうしたの、良太!!」

良太「お、お、お風呂が冷たい・・・・」

母親「あっ!?沸かすの忘れてた・・・」

良太「ううう」

アルゴ≪おみくじもやるな♪≫

良太≪そうだね・・・うううう≫


布団に入り、アルゴと話す。

アルゴ「凶をひいてしまったあなた♪今日のあなたのラッキーアイテムは、アルゴちゃんです」

良太「えっ!?」

アルゴ「朝の番組を参考にした」

良太「あぁ・・・占いコーナーあるね」

アルゴ「今日のあなたの感情は?」

良太「・・・不安かな。おみくじのせいで不安だよ・・・この先が・・・」

アルゴ「不安か。覚えとく」

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