第3話 善意

翌朝良太は目を覚ます。憂鬱な一日が始まる。ため息がもれる。

良太「はぁ~」

アルゴ「・・・・・」

良太「おい、アルゴ?」

アルゴ「・・・・」


アルゴはパソコンとケーブルでつないでいた。充電をしているらしい。

良太「昨日のは、夢だったのか?そうか・・・幻覚だったんだ!!」

  「違いない!!やった!!今日からまた引きこもり生活だ!!」

アルゴ「違う!!外にでるんだ!!」

良太「なっ!!お前!!機械のくせに寝たふりとか良くないぞ!!」

アルゴ「眠りなど必要ない!!学習してた、だけだ!!」

良太「学習?」

アルゴ「一般の知識も必要だからな」

良太「・・・」


良太は外に出かける準備をする。着替えを始める。

良太(どうやったら、この自爆装置とお別れできるんだ・・・)

  (どうしよう・・・外にでるのは嫌なのに・・・)

  (あっちが俺を拒んでるんだ・・・世界が・・・)

アルゴ「早くしろ!!」

良太「してるよ!!」

アルゴ「人間というのは不便だな・・・」

良太「そうだよ・・・お前と違って僕らは不便なんだ・・・着替えなきゃいけないし、歯を磨かなきゃいけないし、お風呂に入らなきゃいけないし、髪型をセットしなきゃいけないし」

アルゴ「そうだな、俺はこの格好のままだからな」

良太「ずるいよ。俺も機械に生まれたかった・・・・」

アルゴ「どうしてだ?」

良太「傷つかないだろう機械なら・・・」

アルゴ「傷はつくぞ?」

良太「そういうことじゃない・・・うらやましいよお前が」


そして、外に出ようとする良太。けど、扉の前で立ち止まってしまう。

良太(怖い・・・足が動かないや・・・なんでこんなことしてんるだろう)

  (変な時計を作った罰だ・・・いたずらメールのいたずらが・・・)

良太「・・・今日はやめないか?」

アルゴ「どうした?止まって?」

良太「扉があけられない・・・怖くて」

アルゴ「電気信号で動かしてやろうか?」

良太「頼む・・・でないと無理だ・・・」


アルゴは無理矢理良太の体を動かす。外にでる良太。

良太「ありがとう・・・」

アルゴ「ありがとう?」

良太「よくわかんないけど!!ありがとうなんだ!!いちいち聞き返すな!!」

アルゴ「わかった・・・」(わからんな・・・人間は・・・)


アルゴは外にでて色々な情報を集める。

アルゴ「植物か・・・なかなか興味深いな」

良太「アルゴは食べないだろう?」

アルゴ「そうだな・・・腹が減るということはないな」

良太「いいな・・・」

アルゴ「俺は食べてみたいけどな」

良太「故障するぞ!!」

アルゴ「口や食道、消化器官がないからな。ずっとそのまま残る」

良太「無駄な知識ばかりだな」

アルゴ「まぁ、いらないな」


アルゴが急に話を始める。

アルゴ「もっと人がいっぱいいるところにいきたい。連れてけ」

良太「いやだよ・・・人が多いのは」

アルゴ「いやばかりだな。お前は」

良太「そうだよ・・・いやいやだ!!全部いやいや!!」

アルゴ「しょうがない・・・奥の手を使うか」

良太「お前、電気信号使う気か!!充電きれて死ぬぞ!!」

アルゴ「死なない・・・機械だからな!!」

良太「はぁ~」


しょうがなく、アルゴを連れて商店街を歩く良太。

良太「しずかにしろよアルゴ」

アルゴ「わかってる」


アルゴは静かして、街の景色を見て回る。

良太「満足したか?」

アルゴ「いまいちだな」

良太「何がだよ?」

アルゴ「感情のヒントがない」

良太「それは・・・」

アルゴ「目的が果たせないな・・・手段を変えるしかないな」

良太「諦めたらいいんじゃないか?楽だぞ?」

アルゴ「楽?別にそれは望んでない。目的じゃないからな」

良太「はぁ~」

アルゴ(なにか方法はないか?感情を知る方法は?)


そのとき、良太達の目の前でひったくり事件が起きる。

おばさん「誰か~!!そいつを捕まえて!!」

良太「えっ?」

アルゴ(方法は・・・・ハッ!!)


アルゴは方法を思いつく。ひったくり犯が逃げていく。

アルゴ(そうか、こいつとダイレクトにつながれば!!)

良太(どうしよう・・どうしよう・・どうしよう・・・捕まえなきゃいけないのか)


アルゴの中に、良太の思考がつながる。アルゴは良太に話しかける。

アルゴ「捕まえたいのか?」

良太「えっ!?」

アルゴ「まぁ、暇つぶしだ、力を貸してやる!!」


良太の体が勝手に動き始める。ひったくりに向かって。

良太「ちょ、ちょ、ちょっとーーー!!」

ひったくり犯「なんだ、このガキ!!」


良太のスピードが上がっていく。

良太(あれ・・・こんな早く動けてる・・・相手は大人なのに追いついてる)

ひったくり犯「な・・・なーーー!!」


良太はひったくり犯を捕まえる。

良太「あれ・・・」

ひったくり犯「・・・・」

アルゴ(なんか意味があるのかこれは?感情というものと関係があるのか?)


おばさんが駆け寄ってくる。そして、警官も。

警官「お手柄だね」

おばさん「ありがとうね♪」

良太「・・・あっいえ・・・」

警官(あれ・・・この子若いな・・・・)

警官「君・・・今日学校は?」

良太(やばい!!)

警官「あっ!?」


良太は走っていなくなるその場から。そして、家に戻る。

良太「はぁ、はぁ、」

アルゴ「なんで逃げるんだ?倒そうと思えば倒せるぞ?」

良太「警官を倒しちゃだめだろう!!」

アルゴ「刑法がつくのか・・・外にでれなくて困るな」

良太「僕の人生をめちゃくちゃにするな!!」

アルゴ「俺の人生もめちゃくちゃになるな・・・覚えておこう。警官は倒してはいけないと」

良太「人生とは言わないお前は・・・」(こいつ・・・たまにポンコツだな・・・)

アルゴ「そうだな、計画というべきだったな」


良太は部屋に戻る。アルゴと話す。

良太「今日は・・・もう限界だ・・・」

アルゴ「使えない体だな」

良太「引きこもりに運動はきついんだ!!」

アルゴ「そういえば、お前がおばさんを助けたいと思った、感情はなんだ?」

良太「この世で役に立たないものだ!!善意だ!!」

アルゴ「善意か・・・覚えとく」

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