準備02 地図と設定
その前に、お話のタネとは?
お話を思いつく時にシーンから入る人もいれば、キャラクターから入る人もいると思います。
私はだいたいシーンから入ることが多く、思い浮かんだそのシーンにたどり着くにはどうすればいいのか、効果的に演出するには何が必要か、とお話を固めていきます。
どうすれば思いつくんだ? という根本的な問いに明確な答えは出せませんが。
ディーン・R・クーンツという作家が「ベストセラー小説の書き方(大出 健訳:朝日文庫)」においてこう表現しています。
”人間はだれでも、事実やアイデア、イメージ、思い出などがごたまぜに煮えたぎる魔女の大なべなのだ。”
”作家が潜在意識という煮えたぎるスープから、よいストーリー・アイデアを抽出する”
(その方法を紹介しよう→読んで読んで読みまくれ。からの以下)
”どんな小説からでも、無数の事実、登場人物、イメージ、語り口、プロットのひねり方などが、君の潜在意識の中に蓄えられ、それが絶えず意識下で作用しあう。”
私はこの考えが気に入っていて、普段から何かとお話を意識した分析や鑑賞の仕方をして、とにかく経験値を稼ごうとしています。
どんな作品、あるいは経験、知識であっても、そうやって結び付けておけば、無意識下のスープの段階で作用し合ってくれる。
変な話ですが、私は私の思考力よりも自分の脳みそを信用していて、こうやって無意識下にため込んだスープが、意識して考えるよりも正しい解を導き出してくれるとまで思っています。
そして、そのスープが他の人と一味違ったものになるよう、いわゆる大御所というか文章家を目指すなら読んでおけというものを「スープが熟成したら」と避ける変人でもあります。
まぁ変人の話は置いておいて、この溜め込んできたスープから物語を取り出すきっかけこそが「発想」の元です。
小学生の自由研究でミョウバンの結晶を作るようなもので、きっかけを放り込んでしまえば、あとはそれに関連のある知識や経験が無意識下で繋がりあって、勝手に結晶化を始める。
そこから掬い上げて、その手にしたお話のタネをああでもないこうでもないとこね回し、削ったり継ぎ足したりして形作っていくことが「お話創り」であり、ここまで見て来た「スケジュールの立て方」は仕上げ切るための考え方や工夫の紹介、「プロット」は成型の雛型、といったところでした。
ここからは「だいたいどういう物語にするか」決め終わったあとの話をしていこうと思います。
お話のタネの具体的な加工部分、あるいは彩色方法のようなもので。人によって差も激しく、作る話によっても違いますから、誰でも使えそうな手法や技法があるわけではありません。
ただただ私個人の方法を、それも設定が多くなるため紹介しやすい「異世界ものの設定」を、順を追って見て行こうと思っていますので、苦手な方はお気をつけください。
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