手順02「大まかな配分を決める」

 「起承転結」+「三幕」を利用して、書こうとしている話の流れを確認したら、次は配分です。なんの配分かと言えば、ずばりページ配分です。


 先程扱った例と、スケジュールでお話した例の120ページを使って紹介してみます。まず「起承転結」においてページ数はどう割り当てられているのか、を考えてみましょう。


 起承転結の性質を見ると、だいたいこんな感じだと思います。

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起「導入」

承「土台」

転「転機」

結「締め」


起「導入」はそこそこの分量に、とっつきやすいよう割と短めかなと思います。

承「土台」は肉厚です。

転「転機」はたいてい一気呵成に物事が動いたり、それまでの事が覆ったりと激しいですが間延びしないよう短めです。

結「締め」全てが解決したあと、余韻を残すくらいで終わらせましょう。

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 あれ、この分析だと「承」以外全部短くない? と思ったあなた。

 正解です。いえ、物語に正解はありませんが、私は物語の作り方を独自に仕上げる際に、そう判断しました。

 なので、ここでの説明はそうなっています。


 「全然違うぞ!」という方もいるとは思いますが、その場合は自分流に配分を弄ってみてください。

 私もいくつかの作り方入門や教本、大学の講義を経て勝手に作った方法論ですので、縛られる必要はありません。


 「承」を「土台」と言っているのも、あまり他では見ないかもしれません。

 なんとなくですが、その後の展開の伸びしろや、物語の幅を広げるための日常パートなので、お話の土台なのだと、私は認識しています。


 さて、これに対して全体を100%と見て配分を行ってみます。

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起:20%

承:60%

転:15%

結:05%

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 私はだいたいこのくらいの配分を目安に、書いてみようという物語に合わせて増減させています。書いている最中に変動することもしばしばあります。


 導入をじっくり描く時もあれば、転をもっと短く切り詰めてみることもあります。

そしてこの%に、書こうとしているページ数を割り振ります。


 スケジュールの例で扱った120ページなら、5%で6ページなので

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起:24ページ

承:72ページ

転:18ぺージ

結:06ページ

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こんな感じになります。なお、120ページは応募用文字数、行数でのものですので、だいたい文庫本で見ると倍の数値になります。


 そして先程あげたボーイミーツガールを漠然と細分化したものに適用すると

~~~~~

起:出会い(全24ページ(文庫本では48ページ相当))

 01:いつもの日常  (6ページ)

 02:訪問者     (9ページ)

 03:問題(小)と解決(9ページ)


承:親交と問題(全72ページ)

 A:親交(A配分18ページ)

  A01束の間の休息   (6ページ)

  A02ギクシャクする二人(6ページ)

  A03深まる絆     (6ページ)


 B:親交と問題(中)(B配分27ページ)

  B01踏み込めない壁     (9ページ)

  B02問題(中)       (9ページ)

  B03解決。判明する問題(大)(9ページ)


 C:問題(大)への準備と対処(C配分27ページ)

  C01迫る敵と妨害 (9ページ)

  C02絶対の策とは (9ページ)

  C03決戦前夜   (9ページ)


転:トラブル(全18ページ)

 表:問題(大)への成功と失敗 (9ページ)

 裏:全ての解決策       (9ページ)


結:解決(6ページ)

 ・そして新たな日常へ

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こうなります。


 かなり機械的に割り振っているのは、別に中身をしっかり考えているお話ではないからです。

「ここが魅せ場だからもうちょいページを増やそう」とか「ここは次で大きいのくるからあっさり切り上げよう」とか、そういった判断でカスタマイズして使いましょう。


 こんな細かいことを何故しなければならないのかって?

 いえ、別にしなくてもいいのです。しないで完成させられる人はそれで何も問題ありません。


 ただ、スケジュールの部分最後で触れた、中だるみ対策。書いていてわからなくならないための対策。

 もっと言うと怠けちゃう人が、それでも完成させるには、というための一種のアイディアにすぎません。


 長編は書いている最中に、新しい思いつきや、似た作品の噂など、雑音が入ってきてしまいます。

 早い人でも一ヶ月から三ヶ月。人によっては半年や一年かけて書いているので、どうしたってそれらは防げません。

 レスポンスの良い短編と違って、途中で誰かが反応を示してくれることも基本的にはありません。


 そういう時にスケジュールを組んでいれば「いや今頑張らないと間に合わない」と気合を入れるのに使ったり、「順調だから安心して羽休めできる」と不安にかられずに心置きなく息抜きしたりできます。


 これと同じように、プロットを組んでいれば「この話、調子乗って筆が進みすぎてるけど大丈夫か」という時は、プロットを見れば「ページをかけ過ぎているのか」「前後が予定より短くなったから問題ないのか」などの判断が下せます。


 中だるみ時に「もう切り上げてしまうか」「いや、まだプロットを見るともう少し分量がないとバランスが悪い」という判断がつき、プロット上でだいたいこのパートでは何を描くのかが一言で出ているので「ここは絆を深めるパートだから、日常エピソードをひとつ増やそう」と言った使い方ができます。


 さて、次は少し蛇足気味な気はしますが「エピソードを並べる」を見てみましょう。

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