世界を創った神様

シマの紙

世界を創った神様

「ねぇママ、眠れない……」


「どうしたのマリア……それじゃあ、何かお話でもしましょうか」


「え⁉︎ 本当? どんな話?」


「このお話はね、とある世界を創った神様のお話…………むかーしむかし、あるところに一人の神様がいました、その神様は銀色の髪をしていてとても可愛らしい神様でした、その神様は不思議と自然に生まれ、そして何もないところから世界を創っていきました……」


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 神様が目をさますと、そこは何もない場所でした、あるものは砂や石、岩などしかない世界でした……神様は目覚めたばかりだけど、どうしてここにいるのか、なんのために自分が生まれたのか全てを理解していました。


 そう……神様でした。


 この世界の神様。


 神様がこれからすべきこと……この大地、いやこの世界に生命を生むこと、そして平和な世界を作ること……それが神様がこの世界に生まれた意味だと理解していました。


 神様が目を瞑るとそこには闇がなく明かりがありました……これでこの世界を操ることのできるかな? と神様は思いました。


 そこには何か不思議なものがありました。


 そして、そこには草が浮かんでいました。


「この世界に草を生やす?」


 そう、そこには草が思い浮かべられていたのです。


 草を生やす……うん草は大切だよね、今この大地は何もないし……けど、草を生やすってどうすればいいんだろう?


 神様は悩みました。


 草……草……草……原っぱ?


 神様はとりあえず原っぱを想像してみました、すると今まで砂と石ぐらいしかなかった大地に緑が生まれました。


 想像するだけで、世界が創り変わる……これが神様の神様としての力だったのです。


 そして神様は原っぱに咲くお花も想像してみました。


 すると原っぱ一面にお花畑ができたのです。


「わぁ……綺麗」


 けれど、その原っぱやお花畑はすぐに枯れてしまいました……


「……どうして枯れたの? ……あ‼︎ お水」


 そう、神様が創った原っぱやお花畑が枯れてしまった原因は水がないからでした。


 水を出すために、雨を降らせることはできる……けどそれだったら雨が止むとまた枯れてしまう……


 神様は再び悩みました。


 あ‼︎ そうだ海を創ろう、そうすればそこにずっと水があるから枯れることがない。そう神様は考えました。


 けど……この世界がどのくらい大きいのか神様にはわかりません……神様はこの世界の広さが知りたいと思いました、すると神様の脳裏に地図のようなものが浮かびました。


「うわ……大きい」


 この世界の大きさはとてつもなく大きく、そして素晴らしいところでした。


「海ってどのくらいの大きさがいいんだろう?」


 うーん……………………………………………………………よし‼︎


 神様は悩んだ末、世界の三分の一を海にしました。

 そして、この世界に山を創り、川を創りました。


 すると、この世界に雲が自然にできて雨が降るようになり、大地に恵みを与えるようになりました。


 そして、神様は再びこの大地に原っぱとお花畑を創りました。すると今回は枯れることなくその大地にとどまりました。


「うーん……原っぱとお花畑と山と川はできた……次は何を創ればいいのかな?」


 うーん……生き物……そうだ‼︎ 生き物を生もう。


 神様は生き物……牛や鶏などなど多くの動物をこの世界に創り出しました。


「よし……これで大丈夫」


 神様はそれから多くのことをしました、生き物が幸せに住めるような土地、そして食物連鎖など、さらに季節や天候、そして温度や湿度、風の流れまで考えました。


 神様がそのようなことを想像するとこの世界はすぐに創り変わり始めました。


 その光景を見ながら、神様は本当に自分は神様なんだなぁと実感していました。


 そして、神様は神様が作ったこの平和な世界で過ごすことにしました。


 もちろん神様は神様なので食事や睡眠などはいらない、つまりずっとこの世界を見ていられるのでした。


 そして、何時間、いや何日……何ヶ月……何年経っただでしょうか。

 その過ぎていく時間の中で神様は少しづつ神様自身が変わっていくのを感じました。

 特に変わったと思ったのは神様に少しづつ感情が生まれ始めたことでした。


 それに神様が気付き始めたのは友達が死んだときのことでした。


 神様はこの世界に住んでいくにつれてたくさんのお友達ができました。


 お友達と言ってもお花や動物たちなんですけどね。


 そして神様はその友達が死んで『悲しい』と感じました。


 そして、その悲しみから生き物が、生命が死なない世界をつくろうとました……でもそれはできませんでした。

 そして、一度生命活動が終わったのも、生き返らせることはできなかったのです。


 神様はその時、神様にもできないことがあるのだと理解しました。


 しかし神様は死んだものを生き返らせることはできないけれど傷や怪我を治すことができました、これも神様としての力の一つでした。


 そして、神様が少しづつ感情を手に入れていく中で世界も神様のように少しづつだが変わっていくようになりました……神様が創り変えたわけでもなくこの世界自体が自然に変わっていったのです。


 様々な感情がある神様はその出来事を『恐怖』に感じました。


 世界が勝手に変わるのでいつか神様自身が神様でなくなってしまうのでは? その時に神様は……この世界から自分は消えてしまうのではないのか? そのような恐怖に陥りました。


 だが、そのような神様をお友達たちは慰めてくれたのです。


 神様はその時に『喜び』を感じました。


 そのように感情が生まれていきながら神様はこの世界を楽しみ、そして『愛』するようになっていったのです……


 そして、神様はその愛する世界を自らの手で作り変えるのではなく今のように自然に創り変えらせるようにしました 。


 しかし……神様が生まれて、数十年、数百年……数千年経った時、世界は大きく動く出来事が起きました……この世界に進化のせいで人間が生まれたのです。


 人間は知能が高く、そして最も神様に近い存在でした。


 そして、世界に人間が増えていき、繁殖をしていきこの世界の様々な場所で生活を始めました。


 神様は人間が生まれて戸惑いました、なぜならその人間と神様は全く同じような体の作りをしていたからでした。


 そして、その人間たちは生活をしていく中で集まるようになり集まった人で村を作り……そして国まで作っていきました。


 神様は、そのように素早く変わっていく世界を……神様が変えたのではなく進化で生まれた人間が変えていく世界が恐くなり、天界という空間をこの世界に作りそこに引きこもるようになりました。


 いえ、神様は初めから引きこもっていたわけではありません。


 神様は、初めの頃は人間と仲良くしようと地上に住んでいました、ある時とある村にたどり着くとそこでは神様をとても歓迎してくれました。


 そして、神様は能力を使い医者として村に住んでいました。


 まぁ、始めて力を使って怪我を治した時は驚かれましたけど、神様に加護をもらったと言えばなんとかなりました。


 そしてそこで神様は長年幸せに暮らしていました……あのことが起きるまでは……


 ある日、この村に近くの国の人がきたことがありました、その人は怪我をしていてその怪我を神様が力で治しました……そして、その人が国の上官に神様のことを伝えたのでしょう……怪我を治すことができる神様のような人間がいると……


 神様は国に呼ばれ……力を利用され始めました。


 神様はそこから天界へ逃げることができました……ですが、神様は逃げることができませんでした。


 なぜなら、国同士の争いで怪我をしている人が、苦しんでいる人がたくさんいたからです。


 しかし、争いで怪我を負っている人たちは生きる気持ちがない人がほとんどでした……神様は悩みました、生きる気持ちのない人に神様の力を使っても良いのか? と。


 そして、ついに神様は耐えきれなくなり天界へ逃げました。


 その場所は、世界を見下ろすような作りになっていていつでも世界を見ることができました。


 そして神様がその世界に引きこもっても……世界は大きく変わっていきました……


 とくに変わったのは……人間同士が……国同士が争うようになり……兵器を使い始めたことです、そしてその兵器のせいで世界が悲鳴をあげているのが神様にはわかりました……神様はその時『怒り』を覚えました……


 神様はそんなことをしている人間がいる世界を消してしまおうかとも考えました……だがそんな時、天界からある男の子が見えたのです。


 その男の子は、怪我をしていました……しかも今にでも死んでしまうかもしれないほどの大怪でした。


 その怪我は、人間が使う兵器に巻き込まれてできた怪我でした……


 死んでしまうしれない男の子は、それでも懸命に生きようとしていました。


 死ぬことができない神様はその男の子を見て懸命に生きようとしている男の子を美しく思い……そして、助けたいと思いました。


 神様はすぐに天界からその場所に出ました……神様にとってはほんの少しの時間でしたが、実際は引きこもり始めて数百年が経っていました。


 ーーーーーーーーー

 すぅ……すぅ………………


「マリア……あれ? ……寝てる」


 どうやら、話をしている途中に寝てしまったらしい。


「……私の可愛い小さな姫様……おやすみなさい」


 そう言い、おでこにキスをした。


「……ん」


 そうして、音を立てないように、マリアを起こさないように扉を閉めた。


 リビングでは夫が何やら仕事をしていた。


「マリアは寝たかい?」


「えぇ、寝たわよ……あなた、愛してるわ」


 マリアに話をしていたら急にそう言いたくなったのだ。


「どうしたんだい? 急に……あぁ僕も愛してるよ、イレーナ……僕の愛しい女神様」


 夫はあの頃から変わらず私にそう言ってくれた。


 女神様と。

 ーーーーーーーーー


 神様はその男の子に力を使い怪我を治しました。


「……僕、生きてる… …」


 その男の子は神様が怪我を治すとゆっくりと涙を流しました。


 その光景も神様には美しく見えました。


「 ……本当にありがとうございます……あの、お名前は」


 その男の子は神様にそう聞きました。


 神様には名前というものがありません、なんといっても神様ですから……神様は自分で名前を考えました。


 そして………


「私の名前は……イレーナ」


 イレーナという名前をつけました。


「イレーナ……ですか、まるで女神様のようだ」


 彼はそう神様に言いました。

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