糸

あとがき

　糸をお読みいただき、ありがとうございます。

　米国人のリックさんとちゃきちゃき江戸っ子しずちゃんの馴れ初め話。組み合わせは一風変わっているかもしれませんが、それほど特殊な話ではありません。自分にないものを相手に見て、それが欲しいなと思って、自分の心を開いて、気持ちを重ねていく。きっと、どのご夫婦の間にもあるプロセスだと思いますし、設定がちょっと凝っているだけで、話としては普遍的だったんじゃないかなと思います。

　結婚で生じる親子関係のごたごたには、いろんなケースがあるでしょうね。親が結婚にまるっきり反対で絶縁しちゃうこともあれば、逆に子離れ出来ずに新婚夫婦に過剰関与することもある。でも第三者としてその是非を問えるかと言われれば、なかなか難しいんじゃないでしょうか。ですので本話では、親子のあり方についての問題提起も兼ねて、単なるラブロマンスに落とし込まずにやや硬めに展開してみました。

　リックさんは温和で辛抱強く、かつ情の深い人です。きっとこれからも、時に暴走しそうになるしずちゃんの手綱をああこりゃこりゃと押さえつつ、仲良く暮らしていくことでしょう。

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　リックさんは別館の長編小説『ぐりーんふぃんがーずくらぶ日誌』のサブキャラの一人で、主人公の工藤（くどう）樹生（いつき）の母親の異母弟にあたります。二年生編の第１６０話でリックさんとしずちゃんの結婚式を主人公視線で描いていますので、そちらもぜひ覗いてみてください。