第2話
その日も僕はいつも通り退屈な一日を過ごしていた。
一日の大半が終わった放課後、帰宅部の僕は帰路についていた。
帰宅途中にある公園では子供たちが遊んでいる。
僕も子供の頃はあれぐらいに元気だったのだろう。などと感傷に浸っていたその時だった。
子供が一人、ボールを追って道路に飛び出していった。
遠くの方からトラックが迫ってくる。居眠りでもしているのだろうか、かなりのスピードが出ている。
『危ない!』。言葉を発するよりも先に体が動いていた。
子供の元まで走る。間に合うかどうかはギリギリだった。
ようやくトラックの運転手も気付いたのかけたたましいクラクションを鳴らすと共にブレーキをかけるがなかなか止まらずズンズンと迫ってくる。
一か八か、道路に飛び出して、子供の襟首を掴み、歩道の方に引っ張る。子供は何とか道路から出せたものの、無理な体制で引っ張ったことによりバランスを崩す。
目の前まで迫ってきたトラック。もう間に合わない…。
「マジかよっ…。」
夕暮れに染まった街。その風景を最後に僕の視界は暗転した。
死んだ僕が歩む道 音切 享楽 @otogiri-kyouraku
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