解説編

用語編(※随時更新)

拡張現実

人が認知した現実と、現実を拡張する仮構バーチャルの要素を組み合わせたもの。(現在、現実で研究されているものと大体同様同趣旨)

この時代では、各人が誕生時に埋め込まれている個人認証素子パーソナル・アイデンティファ・チップに拡張現実機能が組み込まれており、認知した現実と境目なくシームレスに拡張現実を利用することができ、それが常識である。


附票タグ

拡張現実によって付けられた、意識に入るあらゆるものの付加情報メタデータの表示。予め関連付けらリンクされていれば附票の内容から他の情報文データ・テキスト跳躍ジャンプすることも可能。

(現代におけるメタデータの取扱いにお詳しい方には「RDFが万物についてマークアップされている世界観」だと言えば伝わるかしら)

附票をどのように「感じる」かは個人差がある。視覚的にモノゴトに「タグ」や「スタンプ」がついているように感じる者もあれば、聴覚的にモノゴトから 「声がする」ように感じる者もある、という。


個人認証素子パーソナル・アイデンティファ・チップ

この時代において、人の誕生時に埋め込まれている素子チップ。余りに普遍的なものであるため、「個人素子パソチップ(単に音読みすることも多い)」と略されることも多い。

「肉体改造は本人の意志によってのみ為されるべきである」「従って意志能力の確立していない未成年者に肉体改造は認められない」という習律マナーがあるこの時代において、この素子の埋め込みは数少ない例外として乳幼児期に施される肉体改造である。

かつて、素子の機能は単なる個人番号パーソナル・アイデンティファ・ナンバー管理用物理タグであるのみで、それも肉体に埋め込むものではなかった(要するにマイナンバーカードですよ)。様々なサービスが個人素子に組み込まれ、また拡張現実装置の貧富格差が問題視されるに至り、先進国では「全国民に拡張現実装置の埋込を兼ねて個人素子を生誕時に・無償で付与する」ことが国策化していった。

元々小型の素子であるため、通常は認証・通信以外の機能は素子側には作り付けられていない。記憶装置や演算機構としては脳や雲状記憶クラウドを使用するのが通例であり、素子経由の通信によって送り込まれた拡張現実もまた同様に「演算」された上で知覚野に投げられパイプされるのである。


掃き出しスワイプ・アウト

単に《スワイプ》とも。

意識の「外」に附票・小道具ウィジェット伝文メッセージなどを追いやること。それらを削除デリート除去リムーブするわけではなく、一時的に非表示にする・意識しなくするだけのことである。

昔(要するに我々の現代)において、電話スマートフォンの画面外に不必要な道具アプリ通知文ノーティファを指で掃き出すような操作で非表示にしていたことに由来する俗語。

対義語は掃き入れスワイプ・イン


小道具ウィジェット

現実または拡張現実の情報を処理するため、脳の処理野側に作り付けた処理機構。物理的なものではなく、単に通例的な思考を『一組の思考ルーチン』として組み合わせ、処理機構として仮構してあるのみである。

対義語は素子作り付けである正道具プログラム、雲状記憶側で動作する中道具アプリ

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硝子の天井 歩弥丸 @hmmr03

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