頭にほうれん草が生えてから始まる話

大上坂名

異変は突然に

 朝食のテーブルにつくと家族達に笑われた。


「頭にほうれん草が生えているよ」


 母親は、にやけた顔で言った。


「気づいたら生えていた」


 俺が本気で言うと、病院に連れてかれてる。医者いわく「しばらく、入院してください」病院外にでることを禁止された。

 ある日、俺の件を嗅ぎつけたマスコミの取材に応じる。


「これは、人類の食料問題を解決する鍵になるかもしれません」


 翌日のテレビ番組では、俺の映像を見ながら自称学者達が本気で語っていた。

 この日を境に、病院内で黒服の男達が出現するようになり、身の危険を覚えて病院を抜け出す。

 しかし、自宅前にも黒服の男達が待ち構えていた。

 別のところへ逃げよう! でも、どこへ? とりあえず、山に逃げるか!

 しかし、銃を持った黒服達に包囲された。


「足を撃て」


 大柄の黒服の指示に合わせて、銃弾の射出音がこだまする。

 だが、俺の足に痛みはない。目の前に少女が立っていた。


「私と一緒に来て」


 彼女は、俺の右腕を引っ張り走りだした。

 俺達を押さえようとする黒服達が何かにはじかれていく。


「大丈夫、私と一緒にいれば奴らは触れる事はできない。私は、何でも防ぐバリアを貼る能力があるから」


「なんで、バリアを使えるんだよ?!」


「新人類に変異した者は何かしらの能力が使えるようになるの」


「……まさか、俺の頭にほうれん草が生えているのは?!」


「そうよ、おそらく新人類の能力よ……ふふふ」


 彼女の顔が、満面の笑顔になっていた。新人類同士でも、俺の能力は変なものなのか畜生。

 こうして、俺は人類と新人類の戦いに巻き込まれていくのであった。


《終》つづかない


ご読了ありがとうございます。

某コミュニティのお題で書いのを、せっかくなのでカクヨムにも公開しました。

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頭にほうれん草が生えてから始まる話 大上坂名 @ookamisakana

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