この作品を読んで、
改めて『手紙』の良さを感じました。
もちろん、そこに書かれている文字内容も大切ですが、手書きの手紙は、それ以上になにかを伝える力があると思うのです。
文字の癖とか。
お返事が来るまでの時間とか。
そして匂いとか。
それらから伝わってくるものを、自分の心で一旦咀嚼して感情を吹き込むからこそ、嬉しいとか悲しいとか、いろんな気持ちが豊かに躍るのです。
顔の見えないすれ違い、心の中で徐々に膨らむ妄想でさえ、手紙の良さなのでしょう。きっと。
作中の後半には、それと対比するようにメールのやり取りが出てきて、二人の距離は一気に近づきます。
とは言え、得られるもの以上に、失うものも大きいような気がしました。
こんな世の中だからこそ、伝える事を大切にして生きたいと思いました。
小説を執筆中の方に是非読んでもらいたい逸品です。