自分の作品を読んでくれる読者がいるというのは、書き手にとって嬉しいものです。この作品ではその読者がなんと悪魔であり、しかも主人公の書いたラノベが魔道書になるという、トンデモな展開から始まります。
自分の作品をおもしろいと言ってもらえた嬉しさと、ラノベとして書いたはずなのに魔道書として認識されてしまう悲しさ。二つの相反する感情に翻弄される主人公の姿にホロリと涙がこぼれます。
この物語に登場するのは、書き上げた小説が魔道書になる“書鬼官”。彼らは物語という名の呪文を紡ぎ、悪魔を呼び出し、呼び出した悪魔に力を与えて戦わせます。
なぜ戦うのか? それは他の“応募者”を倒し、“戦考(選考)”に勝ち抜いて大賞を受賞するためです。そう、この作品に登場する作家たちは魔道書の執筆者であり、栄えある賞を獲得するため、悪魔を召喚して戦いを繰り広げるのです。
そんな戦いに巻き込まれたラノベ作家志望の主人公。あくまで普通の作家を目指す彼が、美少女悪魔・フルカスと出会い、他の“書鬼官”と戦うなかで、何を考えどこへ向かうのか。主人公の成長から目が離せない作品です。
また、幼馴染の少女・ヨミの可愛らしさにも注目です。献身的に主人公の執筆ライフを応援する、ちょっぴり嫉妬深い女の子。彼女がどのような形で主人公に関わっていくのか、ぜひ本作を読んで確かめてみてください。