舞台、設定、人物、ストーリーのすべてが美しい作品です。特筆すべきは、一つひとつの言葉が適切かつ優美に選び抜かれていること。この作者さんの文章は、とても美しい。一部、抜粋してみます。《透き通る青空。そよ風に吹かれて、黄金色の麦が嬉しそうに首を振る。さわさわと鳴る葉擦れの音に、エメラは自然と微笑んでいた。急ぐ必要もないのについ走ってしまうのは、すがすがしい天気のせいだけではないだろう》およそ3万2000字を読み切る間、作中世界に浸っていられる作品です。