『ゾンビサイド』!「ゾンビの側の人間か!?」
みなさん「ゾンビ」お好きですか?
……2年前とまったく同じ書き出しというのも何ですが、それくらいゾンビが好きなんです!DVが発生しますので結婚はしませんが。
お久しぶりになる『プラグレスでゲームしようよ』ですが、今回は祝!日本語版発売記念という訳で『ゾンビサイド』をお送りします。
もっとも日本語版が出たのはファンタジー世界を舞台にした『ブラックプレイグ』ですが、今回ご紹介するのは素の方の『ゾンビサイド』です。
「剣と魔法」よりは「チェーンソウと二挺拳銃」派と言う事ですね。
まずタイトルの『ゾンビサイド』ですが、間違っても「ゾンビの側の人間」ではありません。「ゾンビ大虐殺」の意味です。
その名の通りホラーというよりは、ゾンビと銃器をネタにしたアクションゲームのノリのボードゲームです。はっきり言ってしまえば『Left4Dead』
物量で押し寄せるゾンビの群れを、近代銃器やチェーンソーでハック&スラッシュ!
そして皆でダイスを振りまくっては「死ぬ死ぬ!死んじゃう!死ね死ね!ゾンビども!」と大騒ぎする教育的でも上品でもない楽しいゲームです。
『ゾンビサイド』は海外で発売されてから結構な年数がたっていますので、ゾンビ好きかつボードゲーム好きな同志は既にプレイ済みではないでしょうか。
ですから今回のターゲットはそこのあなたがたです!
ゾンビもの大好きだけどボードゲームには敷居が高いFPSゲーマーさん。
ゾンビものってプレイバランスが悪いし、特殊ルールを無理矢理乗せていて記述が美しくないって思っているボードゲーマーさん。
だまされたと思ってAmazonかどこかのカートに放り込んでしまいましょう。
で、早速購入してしまった方には申し訳ありませんが、このゲームは値段が結構お高いです。いわゆる『諭吉スレイヤー』一万円越えのコースです。
ですが結構でかめでずっしり重い(3キロオーバー!)の箱を開けてみると、そのお値段の理由が分かります。
ゾンビ!ゾンビ!!ゾンビ!!!
棒立ちで突っ立っている奴やら、全力疾走している奴やら、「何か」の食い過ぎで肥え太った奴までも。
はい、プラスチック製のゾンビフィギュアがたっぷりと入っています。
ここで重要なのはゲームのルール上で違いのある『ウォーカー』(やられ役)『ランナー』(走る強敵)『ファッティー』(中ボス)の識別が一目でわかる事。
「走るポーズしているから『ランナー』ね、『ファッティー』はデブいなあ」
ゲームのテーマ上、ゲームボードの所狭しとゾンビが置かれますので視認性は重要です。
そしてさらに重要なのは各種類に複数のフィギュアが用意されている事。
つまり同じ『ウォーカー』でも男ゾンビ女ゾンビなどある訳ですね。
同じゾンビばかりボードに置いても気分が盛り上がらないというゾンビへの愛。
先ほどの視認性の良さと併せて非常に「わかっている」デザインだと思います。
ゾンビに立ち向かう『サバイバー』(生存者)たちのフィギュアとキャラクターボードも入っています。
ここで注目なのはキャラクターボードの上の経験値。
そう『ゾンビサイド』はゾンビをガンガン倒してキャラクターをレベルアップさせていくゲームなのです。
キャラクターボードには「ハンバーガー屋でバイトしてローラースケート履いてるから(オイオイ)1回の行動で2倍進める」とか「警官なので初期装備がハンドガン」とかそれぞれの出自に合わせた特殊能力が書いてあります。
そしてこの特殊能力はレベルアップと共にグレードアップしていくのですが、これが選択式。
スキルツリーとまではいきませんが、自分なりのキャラを強くしていく快感が味わえます。
次に取り出すのは何枚ものゲームボードです。ゾンビに占拠された街路や建物を描いてありこれらを組み合わせて街並みを作っていくのですが……
とりあえず初めて開封した時の私はルールを読むより先に、ゲームボード上にゾンビや放棄されたパトカーを配置する遊びを始めてしまいました。
血塗れの何かを引きずったタイヤの跡を残す車道。
薄汚れた公衆トイレ、乱雑に乱された死体安置所。
こういった中で文字通りのサバイバルゲームができる訳です。お好きな人には堪らないシチュエーションじゃないですか?!
興奮しすぎました。他に箱の中には捜索カードとゾンビ出現カード、マーカー類とダイスがなどが入っています。
シナリオに書いてある通りにゲームボードとマーカー類を設置してやればプレイ準備はたちまち完了です。
シナリオに特記が無い限りボード上にゾンビは配置されません。
……大丈夫です。しばらくすればたっぷりと置くことになりますので楽しみにしていましょう。
それではゾンビ狩りの始まりです。
『ゾンビサイド』のプレイは下の手順で行います。
①プレイヤー1のターン②プレイヤー2のターン③プレイヤー3の(以下略
④ゾンビの行動⑤ゾンビの出現
ここで肝となるのはゾンビはシステムに従って自動で動くという事です。
つまりプレイヤー全員はそれぞれ担当の生存者を受け持ちます。
ゾンビをプレイヤーが動かすタイプのゲームになりますと、相手は脳味噌すら腐り果てたゾンビの筈なのにやけに手慣れた動きで生存者のスキをついてきます。
ギリギリで銃の間合いから外れたり、一人の生存者を集中攻撃してきたり。
「リアリティの欠片もないぞ、このゾンビ野郎め!」
プレイヤー間の感情のしこりは怒鳴りあいに発展し、しまいには激昂したプレイヤー同士がチェーンソーと斧で解体しあう騒ぎになりますので、これで正解だと思われます。
プレイヤーみんなで仲良くゾンビ狩りが楽しめますし、なんならたった一人でシステムに挑むソロプレイも可能なのです!
プレイを始める前に得物の分配を始めますが、初期装備はなんとも貧弱。
ハンドガンに防火斧、挙句の果てにはフライパンです。
ショットガンやライフル、チェーンソーに日本刀と言った皆の欲しがるおもちゃは鍵の掛かった建物を捜索しなければ手に入らず、その建物の中にはゾンビがいる訳です。
シュレーディンガーの猫よろしくゾンビの数は開けて見るまで分かりませんので、スタートプレイヤーは泣きながら消火斧で建物の扉を叩き壊します。
建物の中にゾンビを配置すると楽しいゾンビ虐殺の始まり始まり~
生存者の武器は銃と近接武器に分けられます。
銃は離れたマスのゾンビを攻撃できるため戦いの主力となる事でしょう。
なにせゾンビと近接する事は死を意味します。
ただし、銃では扉をこじ開ける事はできませんし、ゾンビと生存者が乱戦になっているマスに弾を撃ち込めば悪意があるかのように生存者から射殺していきます。
ゾンビと近接したまま行動力を使い切ってしまった仲間を救うためには、日本刀を構えて突っ込むかっこいいアクションが要求されるって寸法です。
対ゾンビ戦闘は武器によって決められた数のサイコロを振って、これまた武器ごとに決められた命中値以上を出せば良いというシンプルなもの。
命中が悪いもののたくさんサイコロを振れるサブマシンガンを更に両手に装備して撃ちまくったり、ライフルにスコープをマウントして遠距離からランナーゾンビを始末したりとお好みに合わせて戦えます。
おまけにゾンビを倒せば倒すほど自分のキャラクターは強化されますから、ゾンビ以上の獰猛さで動く標的を探し求める事となります。
さて思う存分に破壊衝動を満足させましたか?
ではゾンビの手番です。
盤上全てのゾンビたちが一斉にうごめき始めます。
ゾンビの行動は単純で視線内に生存者がいればそちらに向かいます。
ウォーカーは1マス、ランナーは2マス。
余った移動が攻撃に回されますので、ウォーカー相手なら近接せずに生存者ターンを終わりにしていれば「基本的に」安全です。
ランナーはあっという間に近接してきますし、近接したままターンに入ろうものならたちまち生存者を食いちぎってしまいます。
なにせこのゾンビサイドではたった2回ゾンビに噛まれただけで生存者はあの世行き。おまけにゾンビの攻撃は100パーセントの命中を誇ります。
プレイヤーターンで圧倒的な銃弾の暴力をゾンビに浴びせたのとは一転、ゾンビターンでは追われ追いつめられる方の恐怖をしっかりと味わうことができる訳です。
先ほど視線内の生存者にゾンビは寄ってくるとお話ししましたが、それ以外のゾンビはどう行動するのか?
物音を追ってくるのです。
銃を撃ったり、生存者が集まるほどその場所に「騒音」が発生し、もっとも騒音の多いマスにゾンビはにじり寄ってきます。
これは楽しいゲームアイデアで、調子に乗って撃ちまくっていてゾンビに囲まれる愚か者を再現できますし、敢えて騒音を発生させてゾンビを誘導するというテクニックも使える訳です。
さてゾンビの行動ターンを何とか生き延びても、まだ足りないかのようにゾンビの出現ターンが待っています。
カードで指定された数と種類のゾンビが配置されるわけですが、これが何とも皮肉なことにレベルの高いキャラがいるほど多くのゾンビが出現してきます。
ターンが進むごとにボードの上はゾンビで溢れかえり、壮観の一言。
もちろん生存者の装備も強化されていきますし、レベルだって上がっています。
シナリオ目的の進行状況はどうでしょう、生存物資の回収、ゾンビ拠点の掃討、街からの脱出、最強最悪の「変異種」ゾンビの打倒など様々なシナリオが用意されています。
最終ターンが近くなってくれば、我が身を犠牲にしても目的を達成するといった選択肢ですら考える必要があります。
街から必死に逃げる車両を援護するため新たに発生したゾンビたちに向けて銃を乱射して街の中心部に引き付ける元警官。
生存者が倒れればゾンビたちは貪り食らうのに夢中になって(!)行動できないルールを利用して命とバーターで仲間の1ターンを稼ぎ出すビジネスマン。
協力型ゲームですので、最後にカッコよく自己犠牲でMVPを取りに行ってもオッケーです。
自分の受け持ちの生存者が死んでしまうとプレイヤーは手持無沙汰になってしまいますし、生存者の減少は手数の減少ですのであくまで最後の手段ですが……
場所もプレイ時間もお値段もそこそこ掛かるこの『ゾンビサイド』ですが、ルール自体は非常に簡単。
プレイ時間の多くは大量のゾンビコマを動かしたり、どのゾンビから始末しようかと悩むという「ご褒美」のような時間です。
お年玉で購入し、お正月のお節に飽きたら是非ともプレイして頂きたいゲームです。
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