『テケリ・リ』いあ!いあ!げえまあ!
ここ数年『クトゥルフの呼び声』とか「SANチェック!」なんて単語を聞く事が妙に増えた気がするのですが、皆様クトゥルフ神話はお好きですか。
私にとってのラブクラフトならぬクトゥルフ神話ものの面白さと言えば、まず中二病。
「星辰が正しい位置に戻った際に目覚める旧支配者たち」
「宇宙の成り立ちに意味などなく、正気の人間はその中心を認識することすら叶わない」
こうした世界観は眠りについたはずの中二心を熱くします。
更に中二心に拍車を掛けてくれるのが詩句や固有名詞たち。
「そはとこしえに横たわる死者にはあらねど……」
「いあ!いあ!はすたあ!」
「屍食教典儀」「イスの偉大なる種族」そして「アーカム」
ああ、もう我慢できません。紹介にいきましょう。
『クトゥルフの呼び声』に限らずクトゥルフ神話ものの非電源ゲームは数多く存在しています。
ボードゲーム、ダイスゲーム、ソリティア、カードゲーム……
ゾンビと並んで一大勢力ではないでしょうか。
そんな中、今回ご紹介するのはカードゲーム『テケリ・リ』です。
まずタイトルが良いですね。
耳に残りますし、知っている人はクスリと笑えるくすぐりです。
手の平に収まる小さな箱を開けると、赤青白黒の4種類に分けられたカードが出てきます。
そこには幼子、労働者、医師と言った犠牲者と悍ましい旧支配者たちが描かれています。
すべてのカードには「順位」が書かれ、また旧支配者とその眷属にはお待ちかねの狂気点も記載されていますよ。
ちなみに「深きものども」が狂気点10、ハスター・クトゥルフと言った面々が狂気点120、アザトースが堂々の240と言った構成となっております。
ゲームのルールはいたって単純。
プレイ人数に応じて使わないカードを箱にしまった上で、残ったカードをすべて配って手札にすれば準備完了です。
①親の次の人(第1プレイヤー)がカードを出す。
②以後のプレイヤーは順番に可能な限り、第1プレイヤーと同じ色のカードを場に出す。
③親が最後に出して一巡(1トリック)終了。
④第1プレイヤーと同じ色の中で、最も「順位」の高いカードを出したプレイヤーが場のカード全てを引き取らされる。
⑤今カードを引き取らされたプレイヤーを親として次のトリック①を開始する。
⑥カードを使いきり、全トリックが終了したら各プレイヤーは狂気点を集計して「真の狂気」にする。
⑦誰かの「真の狂気」が限界を超えるまでゲームを繰り返す。
いわゆるトリックテイキングと呼ばれるカードゲームですが、その中でもこの『テケリ・リ』はカード(トリック)を取ってはならない『ハーツ』タイプですね。
トランプのトリックテイキングと違って専用のカードを使っていますので、ルールの把握が誰でも簡単(私は鳥頭なのでクラブの4が役札とか、プレイ中すぐに忘れます)
スートにあたるカードの各色にも特色が付けられています。
「大いなるクトゥルフ」と「ネクロノミコンの断片」以外全てのカードが「深きものども」で占められた青いカード群。
「深きものども」と言うより「インスマウス面」のイメージでしょうか。
同様に黒のカードの中には「ネクロノミコンの断片」と共に「ナイアーラトテップ」そして最凶の「アザトース」までが眠っています。
この「ネクロノミコンの断片」は2枚揃える事で、集計される狂気点を大幅に減らしてくれる特殊なカードです。
しかしネクロノミコンを得ようとして、高い順位カードを出せば「大いなるクトゥルフ」や「盲目にして白痴アザトース」を呼び込んでしまう危険があるわけです。
さらりとしたルールの中で、知識を求めて狂気に陥るクトゥルフもののパターンの再現がされています。
またクトゥルフを離れて『テケリ・リ』のカードゲームとして優れたアイデアは「キャンセル」です。
順位の高いカードがトリックで一方的に不利にならない様、こうしたカードには「キャンセル」の能力が付いています。
同色同順位のキャンセル能力のあるカードが同一のトリックで出た場合、お互いに順位計算からキャンセルされます。
このキャンセルルールのため、誰が犠牲者になるか意外な展開に発展していく筈です。
いえ、満を持して召喚した邪神の餌食が邪教徒本人だったと言うのもよくあるパターンなのですが。
そして、このゲームは誰かが「真の狂気」を10点蓄積して発狂するまで続きます。
あいつが発狂すれば俺は助かると言う訳で「真の狂気」を貯め込み始めたプレイヤーは狂気の淵で激しく攻撃し合うはずです。
そして最終ゲームで発狂が確定したプレイヤーは、一人でも多く自分と同じ狂人を作る為に行動する事でしょう。
ゲームが終わるまでとは言え、その顔は既に邪教徒そのものですね。
あっ、そうです。
「真の狂気」の点数を憶えておくのがちょっと面倒なので、私は100円ショップで買ってきたマスコットを使っています。
赤やピンクの可愛いハートのデザインなのですが、非常に雰囲気が出てお勧めですよ。
この『テケリ・リ』
ルールは分かりやすく、かつキャンセルと言うアクセントがあります。
プレイ時間も短く、カードの視認性、携帯性も十二分。
なにより、クトゥルフ神話世界での生き残りゲームというテーマが魅力的です。
今すぐAmazonのカートに入れてしまいたい所ですが、現在では絶版の様です。
非電源ゲームは一回入手し損なうと、なかなか手に入らないのが難点ですね。
とてもお手軽に面白いゲームですし、私のカードも既にボロボロなので、
星々が正しい位置に戻り、再版が行われる日を夢みるままに待つ事と致しましょう。
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