「ばらどく」あるいは「どくばら」

ワンアイデアで大勝利と言う奴は結構身近に転がっています。


ワンアイデアと言えば、

綿棒で耳掃除をする時に先端をつまんで尖らせておくと、

普段意識していない部分まで入りこんで魔性の快楽が得られるとか。

海老のチリソース煮を作る時には葱油は長ねぎ、ソースと炒めるのは玉ねぎで両方使うだけで美味しさが段違いに違うとか。

……だんだんと自分の限界が見えるせせこましい話になってきました。


我らが非電源ゲームの世界でワンアイデアの大勝利と言えば、今回お話しする『髑髏と薔薇(ドクロとバラ)』です。

タイトルを手書きで書けと言われただけで、これまた書きたくない憂鬱になりそうなこのゲーム。

箱を開けて出てくるのは、大判のコースターの様な紙製円盤だけです。

これがプレイヤー人数分×4枚だけというあまりにシンプルな内容物。

4枚の円盤は裏側に薔薇が描かれているもの3枚、髑髏が描かれているもの1枚という内訳になっています。

ゲームの目的も非常にシンプルで

「髑髏を出さずに薔薇を自分で宣言した枚数めくってみせる」

以上です。


それって面白いの?

疑問に思う方も多いでしょう。

私も「『ばらどく』面白いよー」と初めて説明を受けた時には疑問に思いました。

でも面白さに間違いはありませんので、いつも通りAmazonのカートに入れてしまいましょう。


ゲームの進行は以下の手順です。

①プレイヤーそれぞれが裏側(薔薇と髑髏)を見せない様にして自分の円盤を持つ。


②手番が来たら自分の前に薔薇か髑髏か分からない様に表向きに置く。


③二周目以降は先ほど自分が置いた円盤の上に、やはり表向きで載せて行く。


④二周目以降は自分の手番で円盤を置く代わりに「ストップ」してめくる薔薇の枚数を宣言してもよい。「ストップ!3枚」


⑤「ストップ」以降の手番では円盤を置かず、「降り」か先ほど宣言された以上の薔薇の枚数を宣言する。


⑥全員が降りたら最大の薔薇の枚数を宣言したプレイヤーがめくる権利/義務を得る。


⑦めくるプレイヤーはまず自分の円盤をめくり、後は各プレイヤーの円盤を上から好きにめくっていく。


⑧宣言した枚数の薔薇をめくれば勝利1、途中で髑髏をめくれば失敗。


大切なのはめくる時に自分の一番最後に出した円盤からめくり始めると言う事。

この部分のルールの扱いは2流派あって「自分の円盤は全部めくらなきゃダメ」派と「一番上の一枚だけが義務」派と意見が分かれています。

正規のルールでは前者らしいのですが、後者でプレイした方が盛り上がります。


自分の髑髏を何枚目に置くのか、そして「ストップ」以降の競りでどこまでつっぱるのか。

一緒にプレイしているライバルたちが髑髏をどこに置いて何枚で競るつもりでいるのか。

お互いの考えを読む事になりますが、プレイ自体は円盤を置くか、宣言するかだけなので大変スピーディーです。


めくる権利を得ておきながら、髑髏をめくったプレイヤーは罰として自分の円盤を一枚ランダムに捨てなくてはなりません。

ですから慌てず騒がず、ライバルたちの自滅を待って手の内を明かさせていくのも戦術の一つです。


ただし、このゲームの終わりは突然やってきます。

誰かが二回勝利を得れば決着ですので、いつまでも様子見をしているチキン野郎も栄光からは遠いのです。


いやらしい顔をして人の円盤の裏を推し量っていたライバルが、最後にあなたの前の円盤をめくり得意満面。

拳を突き上げながら「7枚!勝った!!」などと叫んだ時、

あなたも「やりやがったな!もう1回!」と叫ぶはずです。


なにせ裏になっている円盤をめくる一回毎が、薔薇か髑髏かのロシアンルーレットです。

それも宣言した枚数に近づくほどに「あと2枚めくれるか?」「あと1枚だけ、誰ならヤれる?」とめくる側もギャラリーもどんどんアップになっていきます。

勝った時は必ずリスクを冒し、ライバルの眼前に薔薇を突きつける形となりますので、

勝利の興奮と優越感と言う点ではトップクラスに入るゲームです。


ギャングシンボルやタトゥーをモチーフにした様なカードのデザインもゲームらしからぬものがありますので、外でウィスキーをちひちび舐めながら「勝てなかったチキンの払いで」なんて中二テイストな事も実際にできます(お店は選びましょう)


一回のプレイが15分程度で終わりますので繰り返しプレイするもよし、他の時間の掛かるゲームの後のクールダウンに良しの名作ゲームですよ。

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