第6話 あわのように


立てかけたペットボトルが倒れた。

スーパーでの買い物あと。

今にも転がりそうな気分。

隣りの席は、空いたまま。

曲がり道で急ハンドルして、避ける。

炭酸水が、泡めき立つーー


きみは何かを 思い出させる


きみは何かを 思い出させる



雲に影がーー雨が降りそうな雲なのか

あそこの庭は荒れている、荒れている

でも、まだ使われている家

まだ使われている家


「何かしようとしたのかい?」

「いや、何も」


それが僕の感想



不思議に思う青い空のまま

立てかけたペットボトルが倒れる時

荒れた庭と、まだ使われている家

思い出すのか、忘れたのか

切っ掛けなのか、喪失なのか

炭酸水が、泡めき立つ



薄明の下に


日常の界隈に


ある種の融通が利いた小ささ


それが日常を 揺さぶる

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ウリ @hougen

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