第5話 境界線

音を足してしまうことで「〜のように」

その曲、そのもののメロディが改変され「〜のように」

境界線が取り払われてゆく


アドリブが

アレンジが

加えること、そのものが


確信が持てない


君と、僕 




「これで良いかなんて、どうやったら、自信を持てるんだい?」

「どうしたの?」

「これで良いんだ、と思える自信はあるのだろうか?」

「自信がないの?」

「どうしても、空っぽに感じてしまうときがあるんだ」

「ココロのこと?」

「人生まるごと。限りがあるのか、ないのか。十分なことが」

「ヨクボウのこと?」

「確信が持てないんだよ、人生に。正しい生き方とかじゃなくて…」

「センタクのこと?」

「この方向性に、僕の人生の何かがあるのか? それとも…それとも…」

「それとも…?」

布団のなか、ユカが手を探り、触れる

「それとも、このまま…このままが全て




 目を開ける速さと、目を閉じる早さ。手を重ねる感覚と、手を払う感覚。

 手遅れと、先走り。分岐点と、脱線。Uターンと、過去を振り返らぬこと。

 透明さと、不透明さ。感情と、輪郭。君と、僕



このまま全てが、これだけなのか」








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