短編としては長いので、絵本には仕立て難いでしょうが、内容的には絵本にピッタリの童話です。作者を始め若い方には通じない例えですが、40年ほど前のアニメ「はじめ人間ギャートルズ」のエンディングテーマを思い出しました。こんな父親を持った娘さんは幸せですね。ゴールデンウィーク以降の更新が有りませんが、是非完結させて、その幸せのカケラを分けてもらいたいものです。星の数は、短編にはMAX2つが信条だからです。
元素の視点から星の栄枯盛衰を語る、という切り口が斬新でした。宇宙をひとりぼっちで漂う鉄の粒が、時には誰かと会ったり、時には別れたりしながら、「星の一部となる」という目的に向かって生きようとする様子は胸に迫ります。一話が短く、語調も子供向けということで易しいものなので、科学ロマンとしてとっつきやすかったです。今後、鉄くんがどんな旅を経て、第1話の状況に向かっていくのか、楽しみにしています。
科学の「か」の字もない私にも、とても読みやすく、わくわくした気持ちにさせてくれる作品です。「鉄」と「炭」が会話する、という展開にも違和感なく入り込め、そのうえなんだかあたたかい…。こんな本を、子どものときに読みたかったです。続きが楽しみです。