第148話 猛攻、凍結粉砕!

 急に軽侮した目つきをみせ、シロンがつぶやく。

 「死ぬか、ボケ!!」


 果敢にもマレッティ、光をまき散らして眼眩めくらましとするや、すかさず反撃に転じる。


 「こいつ!」


 シロンが、思わぬ攻めにひるんだ。マレッティ、光を反射して分身を作るや、光の輪ごと突きかかった。後光めいて光を放つマレッティを迎撃してシロンがメイスを叩きつけたが、それは分身だった。攻撃は空をきり、体勢を崩す。


 「もらったあ!!」


 だが、それもシロンの分身だった。シロンは冷気で周囲の水蒸気を凍らせ、マレッティの光すらも利用して、咄嗟にマレッティの技を真似て分身を作り出した。


 「ぎょっ!!」


 氷の影を攻撃し、砕け、それが分身だったと知るやマレッティ、条件反射めいてその場から離れた。瞬間、凍気が爆発し、氷の粒が周囲に飛び散ってマレッティを襲った。


 血を流して、マレッティが砂浜に倒れ臥す。容赦なくシロンが追撃! が、マレッティ自身が猛烈に明滅して、またも幻惑をかけた。


 「……厄介な!!」


 たまらず、シロンが間合いをとる。マレッティは逃げるようにして岩場まで走ったが、シロンがまたもメイスの先端を飛ばし、弧を描いて岩をも凍結粉砕する。連続してメイスがマレッティを追って攻撃し、マレッティは岩を渡って冷気から逃れたつもりで、波打ち際まで追い詰められた。


 「う……」

 シロンが早足で近づいた。

 「カルマ、死ぬのだ!」

 体勢を整える間も与えず、マレッティをメイスの先端が襲う。

 「なめてんじゃないわよ!!」


 何十、いや何百もの大小のリングスライサーが重なり合い、楯となってマレッティの前に光り輝く。バギィン! と軋んだ音がして、その光の楯が一撃で凍りつき、粉砕される。勢いでマレッティは飛ばされ、海に落ちた。


 「……!」

 冷たい。とにかく冷たかった。しかも足が届かない。溺れる。


 だが、波に押されてマレッティは膝ほどの浅瀬に転がった。砂と海水にまみれ、咳きこんでなんとか立ち上がるも、恐怖と寒さで震え上がり、隙だらけだ。


 シロンが初めて、愉悦に口元をゆがめて必殺のメイスを飛ばしかけたそのとき、

 「……きました、きました!」

 あのちんちくりんの炎の鞭遣いが走ってきてわめいた。

 「チィ」


 シロンは舌をうち、急いでその場を離れた。駄賃に振り向きざまメイスを飛ばしたが、届かなかった。が、重い凍気だけがかろうじて届き、マレッティの足元を見る間に凍りつかせた。ぶ厚い氷に両足を捕らわれ、マレッティが動けなくなる。


 「な……!?」

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