第144話 銃のガリア
と、興奮した一頭の海トカゲが、浜に上がってきた。海トカゲ竜はワニめいて陸も歩ける。
「ぬぅ!」
アーリーが巨大なガリア「
「たいしたものだな」
銛一本で次々に竜を倒してゆくニエッタを見て、アーリーがつぶやいた。
「でもこいつら、海の軽騎竜でしょお? 百や二百倒したって、自慢にもならないわあ」
「小隊の連携の話をしている」
「そりゃ、あたしたちは単独戦が基本だからねえ」
あらかた、倒し終えたところだった。
ガーン!!
雷鳴轟き、どうしたの、カンナちゃん、とマレッティが丘の上を見やったが、当人のカンナが驚いて尻餅をついているので、あわててアーリーを見た。アーリーが右肩をおさえ、片膝をつく。
「アーリー!!」
アーリーは立ち上がった。
全身に力を込めると、その右肩よりガリアの弾丸がぼろり、と落ちた。
「な、なによ、これ」
マレッティが見上げると、丘の上に、四人、立っていた。
9
カンナはその轟音に驚いて腰が抜けかけた。海鳥が一斉に飛び立つ。
どこから現れたのか、近くに四人が立っていた。三人、丘から砂浜へ下りて行き、一人が走り込んでカンナとトケトケへ迫った。
「ほら、出たわよ!! 護衛、しっかりしてよ!!」
トケトケが弓を放つが、相手の方が速かった。またバーン! と音がはじけ、何かが飛んでトケトケのガリアに当たり、ガリアを吹っ飛ばされた。トケトケが衝撃で手をおさえる。血が滴っていた。
七十キュルト(約七メートル)ほどの距離で、そいつは止まった。中背の船乗りのような姿だが、豊満な体を持つ女だった。ただ、布を巻き付けたアタマから伸びる黒髪は見るからにボサボサで、右目へ黒い眼帯をし、獅子鼻ぎみの、お世辞にも愛らしい顔つきではなかった。下卑た笑いに茶色い八重歯をみせ、何を余裕かましてか、素早く葉巻を取り出すとガリアから火花を出して火を点けた。そして、ゆっくりとふかす。見た目は充分にベテランだが、意外と若そうな雰囲気もかいま見せる。じっさい、歳は二十三であった。
そのガリアが、見たことも無い不思議な形だ。鉄の筒を横に二本、連ねているものにしか見えない。
銃だった。火打ち銃のガリアだ!!
銃は、竜側の国の武器であった。知らない武器が心より出ずるはずなく、ガリアにはならない。したがって、彼女は竜の側から来ていることになる。大口を開けた竜の頭から銃身が連なって飛びでている。銃尻の部分が竜の角の装飾になっていた。ガリア「
カンナはガリアを出した。
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