第7話 ガリアの黒い剣
すげえ名前だ、とカンナは思った。が、アーリーはすましたもので、
「見てのとおりだ。何の工夫も無い」
そういうものなのだろうか。
「じゃ、あたしい!」
高いマレッティの声と同時に、閃光がカンナを刺した。窓よりの斜光よりまぶしい。マレッティが光度を落とすと、そこらにありそうなカウル状の手甲のついた、地味な片手持ちの細長い刺突剣が明滅を繰り返して光っていた。ただ、全体の長さは彼女の身丈に合わせて、男性が持つものよりやや短い。
「ま、
「オレのは、これだぜ」
フレイラの手には、一キュルト(十センチほど)の太い針が三本、あった。その手を交差すると、六本に増えた。
「
にやり、と笑ったその口元と眼は、とても先ほどの快活な雰囲気ではなかった。
「じゃ、カンナちゃんの番!」
「えっ、は、はい……でも、とてもみなさんのような大層なものでは……」
「しんぱいないわよお! 少なくともガリアが出せるんだからあ! 修行と戦いの中で、強くなっていく人だっているんだしい」
三人の失望と嘲りの顔を想像しつつ、カンナは右手を振った。
「……!」
一同が息をのむ。
カンナの手に、彼女の髪と同じく、漆黒の中に微細な光の粒が混じった柄の長い両手持ちの剣が現れた。剣身には、闇夜を引き裂く稲妻のような、黄金の線模様が走っている。しかもその剣身は漆黒ながら角度によっては半透明に透けて見えた。その透明の中に、液体のように何かが流動しているのが見える。
「かあっこいい!」
蒼い眼をさらに丸くして、マレッティがその剣ごとカンナの手を握った。
「わっ! かっるうい! まるで木の剣みたい……」
「カンナの細腕で振り回すから、軽いんだろうな。で、その黒い剣にゃ、どんなちからがあるんだ?」
「どんなって……」
カンナは当惑した。実は、これまで一度も竜と戦ったことが無いからよく分からない。
「私が観たところ」
アーリーが斬竜剣を杖にしてその大きな身体を屈め、黒剣をみつめた。
「……これは雷撃だろうな」
「わっ、カミナリぃ!? モルニャンちゃんとおんなじってことお!?」
雷撃……カンナは心の中でつぶやいた。そうなのだろうか。
「珍しいっすね。カルマで同じ力がカブるなんて」
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