☆着想のトリガー・実践編(2016/04/17)

 こんばんは、とっても眠い。

 前回あんな終わり方したのに間が空きました。大変よくない。


 最近、どうにも睡眠時間が足りないと申しますか、端的に申し上げて常にクッソ眠いので、余暇時間にも寝るしかない始末です。

 こんな時間に書いているのも寝て起きたら今だった。おかしい……私の体感時間ではまだ日付変わるか変わらないかぐらいなのに……。


 まあとりわけ今日すっげー眠いのは、宝塚を観てきてエネルギーの80%をそこに割いたからだと思いますが。雪組はいいぞ。

 でも宙組と花組を観た時には80%どころか95%くらい割いてる気がするのでまだマシなのだろう。家へ無事に帰り着いているのが不思議なくらいだ。って何を話しているんだ私は。



 閑話休題。


 今回は前回の続きで晒しパートである。

 完全に自己満足なので、気にせず飛ばしてくれて構わない。

 因みに下記の話はネットに公開していないものも多く宣伝ですらないので、そこはご安心して一笑に付していただきたい。いや何の安心かわからないけど。


 なお以前、私はプロットというものをほとんど作らない人間だった(今は作っている。プロット作っとくとすごく楽だね!)……のだが、過去に書いた小説の場合も、断片的なメモが残っていることはある。

 掃除をしていて数年前のメモを見つけ、愕然とすることがあるのだが、ある場合にはそれを元に忠実に記載していきたい。



+++++



 こんな話がある。


 主人公は呪いに蝕まれた少年。彼は呪いを解くためにとある村を訪れるが、そこも彼と同じく呪いに覆われていた。

 呪いを解く手段を得るための旅に少年も同行することとなり、その先々で彼らは不吉な影と、身に覚えのない因縁に向き合うこととなる……そんなハイファンタジー。



 この話の着想メモがこちら。



『世界最弱のパーティー。』



 どうしてその話を書こうなんていうモチベーションが持ち上がったのか。

 どうしてその着想でこの話になったというのか。


 着想はかなり前の話なのだが、今の世の中は俺TUEEEが流行っているのだと教えてやりたい。

 そして教えたところで私は絶対言うことを聞かないだろうし、もう一度言うけどこの話の内容が何故に世界最弱というフレーズから発したのかわからないし、そもそもプロット組んだ今となってはもはや最弱じゃない。



+++++



 こんな話がある。


 すべての人が魔法(厳密には魔法とは区別される力)を使うことが出来る世の中。とはいえ魔法の威力は弱く、世間の役には立たないものと見做されてきた。

 だがある日、平凡な女子高生たちは同世代の男子高校生に襲撃される。やがてそれは高校生たちの諍いを超え、ひいては世界の秘密に迫っていくこととなる……そんな群像劇ファンタジー。



 この話の着想は、メモではなく友人との会話だった。



『人間がポケモンみたいに全員なんかそういう術使えたら超楽しいよね』

『超楽しいな!! じゃあ○○の属性なんだと思う?』

『水じゃね?』

『ぽいわー、超それっぽい。じゃあ○○は?』

『奴は絶対、霊とか呼び寄せるタイプ。呪いとか使える』

『『『間違いない』』』

『〇〇は?』

『なんかアレじゃね? 動物とか召喚する系』

『マジか』 

(以下略)

(因みに同様の会話をいろんな場所でいろんな人と複数回している)



 受験のストレスによる産物である。



 一応断っておくが、ポケモンの属性とは一致していないしそれなりの理屈がちゃんとあるので、その、大丈夫です……。



+++++



 こんな話がある。


 現代ながら、多数の一般人と少数の魔法遣いが暮らす世の中。魔法の研究を許認可された学園には、裏で学園の守護を担う魔法遣いたちがいた。

 彼らはある日、滅んだとされる筈の『魔女』と遭遇。敵対することとなった彼らは、違和感を抱えながらも彼女たちと向き合うこととなる……現代ファンタジー。



 この話の着想がこちら。



『公務員の忍者』



 もう本当にどういうことだよ。



 この着想は、厳密に言えば、ちょっと更に経緯がある。


 小腹が空くと常に忍者めし(そういうお菓子があるのです)を食べている知人がおり、忍者というあだ名が付いていた。

 全てはそこから始まった連想ゲームだ。


→忍者だったらどこかに雇われてるよね

→今の世の中だったら公的機関に雇われてて欲しい

→公務員の忍者!



 QED。

 ……かつてこれほど間抜けなQEDを使われ方をしたことがあっただろうか。


 なおプロットを作った今、もう忍者の要素はほぼほぼ残っていない。

 そもそも舞台となる学園が私立学園の設定になってしまったので、公務員要素なぞは一切残っていない。なんだこれ。



+++++



 こんな話がある。

 

 ふとしたことから出逢った大学生の男女。過干渉はしないが互いに深層の部分を理解し合った奇妙な関係性の二人は、当事者にはならず冷めた目線で周りを観察しながら、日常に潜む鬱屈した問題を密かに解決していく。

 やがて二人の間を揺るがす大きな事件が起こり、あらゆる物事へ他人事を貫いていた彼女は、殻を破って自ら動き始める……そんな現代ドラマ。



 この話の着想がこちら。



『何かよくわからない関係の大学生が学食でウマそうに親子丼を食っている』



 飯テロがしたいだけじゃないのかコイツ。


 今回、晒すにあたって久々に小説ファイルを見てみたけど、章題が大体食べ物にちなんでいた。

 飯テロがしたいだけじゃないのかコイツ。


 まるでこのエッセイじゃないか…………



+++++



 間抜けな話が多い中、比較的、綺麗なイメージのメモが出てきた。

 それがこちらである。



『夏 夜 竜が空飛んでる』



 なるほどワードは爽やかだ。

 だが何を書けというのか。


(※確かに夏の夜に、竜が空を飛んでいる小説が出来た。)



+++++



 こういったメモは諸々、ネタ止まりになって小説の形になっていないものも多い。

 その中の一つがこれ。



『右手:吐き出す。左手:吸い取る』



 もう何をしたいのか全く分からない。

 流石に、何を考えていたのか全く思い出せない。



+++++



 そういえば物語自体の着想ではないが、既に物語の骨格はできているもののまだプロットを作っていない部分のストーリについて、殴り書きをしたメモが残されていることもあった。

 現在まだ執筆途中のとある作品についてのメモがこちらである。




『何かすんごいクライマックスの出来事が起こる』




 過去の貴様に言われなくても盛り上げる努力はするつもりだ。



 分かったけど……もう少し、こう、仮にも小説を書いている人間なんだから……こう……もう少し、マシなメモを残してくれ……。

 いくら自分しか読まないメモとはいえ……。


 果たしてメモをする必要があったというのか……。



+++++



 改めて見返してみたが、我ながら意味が分からない。

 よくもまあ、今の形に収まったものだ。

 いや、完結していないものはまだ収まってはいないのだけれど。


 シチューの余り物であっても、ぶち込めば案外美味しい料理になるみたいに、小説だって意外となんとかなるものなのかもしれない。

 要は、料理次第。ということなのだろう。

 料理どころか、だいぶ、食材を総とっかえしているものも多いけれども。

 ラムとドリアンをぶち込んだような阿呆なソテーが出来上がらないように注意したいものである。




 そういえば、ある日。

 私は高校・大学と、いわゆる文芸部みたいな部やサークルに所属していたのだが、その高校時代の仲間とは、卒業し居住地もばらばらになった今でも、年に数回ほど集まっている。


 その仲間たちとの会合で、レストランにて食事をとろうとしていた時のことだ。

 メニュー表を見ていた友人が、ごく真剣な眼差しでこう言った。



「バーニャカウダって、なんか村の名前みたいじゃね?」



 そのレストランはどちらかと言えばオムライスが有名で、とろとろの卵が大変美味しく、デミグラスからトマトクリームからジェノベーゼやその他のソースから、具のバリエーションも含め多種多様なオムライスが取り揃えられている素敵なお店なのだが、そこは今回、本題ではない。


 オムライスはさておき、折しもそこは、イタリアンが主体の店。壁にも手元のメニューにも、一般的なイタリア料理の名前が並んでいる。

 それを受けての、先の発言だ。


 耳を疑った。

 訳はなく、同じく真面目くさって、我々はたまに堪え切れず笑いを挟みつつも、碇ゲンドウのようなポーズで考察を開始した。



「バーニャカウダ村……住人は誰だ……マルゲリータか」

「ブルスケッタは頑固親父」

「カプレーゼは少女だな……病弱な感じの……」

「お腹すいた」



 類は友を呼ぶ、というフレーズがちらつく。

 何を隠そう、上記の二番目に書いた着想の会話を交わした友人たちである。


 食事をする間に、二桁に届きそうなありとあらゆるイタリア料理が詳細な設定込みで擬人化されてしまった。

 テンションとはげに恐ろしいものである。



 つまるところ、創作屋にかかってはどんな適当なものだろうが間抜けなものだろうが、創作脳により上手いこと亜種変化させてしまうらしかった。時と場合による部分はあれど、タイミングが合えば瞬時にその餌食になってしまうので、物書きというのはつくづく業の深い生き物であると同時に、大変コスパのいい生命体だと私は思っている。


 もしよければ、みなさんの着想もエッセイなり近況ノートなりでそっと語ってみてはいいのではないだろうか。愉快なバックボーンがある場合は意外に読者は楽しめるし、あと私がほっとする。

 いつか書きたいと思っているが、そういう裏話が私は好きなのだ。後書や裏話が好きな層は一定数いるんじゃないかと思う。




 ところで因みに、後日談。


 高校の部活仲間であるところの私たちは、会合をする以外にも一年に一回程度、小説を主体とした同人誌を作っている。

 とはいっても、5冊しか刷らない完全に身内だけで楽しむものなのだが、とにかく。


 先日出来上がった同人誌には、件のイタリア料理の名前から端を発した物語が。

 400字詰め原稿用紙にして実に250枚を超える長編が掲載されていた。


 マジかこいつ、と思ったが、マジだった。


 明らかにこれまでのバックナンバーの同人誌より分厚く、そして誰よりも長かった。そりゃそうだ。あとちょっと書けば文庫本になるぞ。



 そして名前は完全にネタでしかないのだが、各イタリア料理……違った、各人の個性が際立ち、揺れ動く人間関係や過去の傷にも触れながら、見事な群像劇としてまとめ上げられていた。

 すごく面白かった。なんだコイツ。


 なにぶん、ネットに存在しないので紹介できないのが大変口惜しい。

 そうだ、次に会ったらカクヨムに投稿しろと言ってみよう。(やってくれない気がするけど。)



 本当に。つくづく、創作屋というのは面白い生き物である。



(2016/04/17)

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