2016春:創作屋の文学的日常
創作を食いつぶして生きる(2016/03/30)
学生時代、私は主食がバームクーヘンだと思われていた。
一応弁解しておくが、本当に主食がバームクーヘンな訳ではない。断じてない。
確かに学生時代は何がなくとも大体バームクーヘンが常備してあったが、お米もパンも好物だし、夏にはそば・冬にはうどんが食べたいし、本日の昼食はラーメンだったし、つまり炭水化物が概ね好みなのでしいて言うなら雑食である。
ただまあ、平和なサークル活動中に、
「朝は何食べた?」
「バームクーヘンです」
「昼ご飯は?」
「バームクーヘンです」
「昨日の夕飯は?」
「……バームクーヘン……」
という残念な受け答えをすれば、主食と言われても仕方ないかなという気はする。
さておき、主食がバームクーヘンだとかあだ名がバームクーヘンだとかいう憂き目に晒されていた私だが、さっきも書いたように四六時中生活習慣病まっしぐらな生き方をしている訳ではない。
そういった退廃的な食生活を送っているときは、十中八九が創作している時。それも完全にスイッチが入っている時だ。
創作に関して、自分は非常にムラがある人間だ。
カクヨムや小説家になろうへ投稿する前は自分のホームページにて小説を掲載していたが、更新が停滞するのはざらだった。半年はおろか、酷い時には、本当に、とてつもない月日が流れている……。
今、サイトの更新履歴を見てきたけど本当に酷いので詳細は割愛する。
弁解しておくと、今ではだいぶそれはマシになって、死んだと見做されない程度には更新をするようにしている。
というか、現在進行形で風邪だか花粉症だか分からん症状に見舞われていたせいで絶賛停滞中だが、近日中にはきっとおそらくカミングスーン。
そういった具合に、止まるときにはこんな体たらくなのだが、逆にスイッチが入った時には怒涛の勢いで書く。(それでも速筆、と呼ばれる人には到底及ばないが、それはそれ、自分のペース換算なのでさておくことにして。)
最近で一番スイッチが入っていたのは2015年の夏だけど、おおむね毎日更新ペースだったので、頻繁にトップのお知らせと更新履歴を変えるのが面倒になり、章が完結する時だけ変える仕様に改めた。
そしてスイッチが入っている時には、自分でもどうかと思うくらい、創作以外のあれこれが相当おざなりになる。
仕事は流石に行くけれど、普段はふらふら寄り道するのに脇目もふらずに直行直帰。いつもだったら季節の変わり目に買いたくなる服も、夕食前だというのに構わず食べる甘いもの類も、普段は用がなくともうろついている本屋だってこの時ばかりは足が遠のく。
行き帰りの車中では創作のことしか考えてないし、ラインの通知には高確率で気づかない。観たいアニメも読みたい漫画も、その時ばかりはほとんど興味がゼロ近くまで低下するのだ。
家事に関しては、掃除や片付け、だけは、なまじ多少潔癖のきらいがあるので気分転換も兼ねてやるけれど。他のものに関しては、まあ、お察しあれ。
このような具合に、私の場合は興が乗ると完全に創作偏重の生活にシフトしてしまう。とはいえどんなに創作だけに没頭していたくとも、生きていれば腹は減る。
何もせずとも腹は減るのに、創作しているので否応なしにエネルギーは消費される。
そんな時のバームクーヘンですよ!
料理を作る時間はもったいないし、そんな時間があるならキーボードを叩いていたい。けれどもお腹は切実にSOSを訴えてくる。
そんな時に出てくるのが、大抵はバームクーヘンだった。何しろ炭水化物、単純に腹を膨らまし糖分を送り込むにはもってこいなのである。
ホールで数百円くらいだったバームクーヘンを齧りながら、これから書く台詞や展開を考えてつつニヤつく口元。完全に変態である。
間違いなくその時はクリエイトしている筈なのだが、絵面的にはサバイブしているといった方がしっくりくるのが否めない。
因みに冬にはここへみかんが加わる。ビタミンも摂取できて完璧である。
というのは勿論嘘で、こんな生活のせいか、学生時代の私はしょっちゅう風邪を引いていた。『主食がバームクーヘン』という称号の他に得ていたのは『月に一度風邪を引く人間』との風評である。(実家に帰って健全な食生活を送り始めた途端に風邪は引かなくなった。)
真似してはいけない。しないと思うけど。
なお、これは創作におけるアウトプットに限らず、インプット、すなわち読書の場合も当てはまる。
よく通勤中の電車や昼休みの時間に読書をしている人を見かけるが、あれが私は苦手だ。本を読みだすと、どうしてもノンストップで最後まで読み通したくなってしまう。
面白い小説を読み始めてしまったが最後うっかり深夜に及ぶし、それがWeb小説だった日には夜が明ける。
そんな時にも騙し騙しバームクーヘンで飢えを凌ぐ。
万能だね。バームクーヘン。
なお余談だが、以前は自分の性質を自覚しつつ、それでもやはり読みたいので、断腸の思いで細切れ時間に読書をしていた。
だが、爽やかな朝の通勤中に村上春樹の「スプートニクの恋人」を読了し、これから始まる仕事を呪い、読んだ自分自身を呪って以来、安易な読書はやめようと心に誓った。
もっとも今は車通勤だから、やりたくたって出来ないんだけど。
それにつけても単なる勘違いに過ぎないかもしれないが、創作活動をしている時にはいつもよりカロリー消費量が少量で済む気がしている。
動いていなければエネルギー消費が少ないのは当たり前なのだが、それでも課題のレポートをしている時より、ただただネットサーフィンをしている時より、なぜだかお腹は空いていない。(無論、私の体感なので私一人の話だ。)
アドレナリンだか何だかの成分が出ていてそう思わせているんだろうなあ、とぼんやり思いつつも、脇目もふらずに創作に耽溺していると、段々、創作を貪りながら生きながらえているような気がするのは私だけだろうか。
だからきっと、もそりとした愛すべき焼き菓子だけで活動が可能なのだ。
ところでバームクーヘンはさておき、他の人はどんな創作スタイルなのだろうか、というのが間々気になる。
折角ここに物書きさんが山と集まっているのだから、こういう事を聞いてみたいなあと思うのだけれど、現状カクヨムにはそれができるツールが無い。
pixivやTwitterみたいに匿名でカジュアルに答えられるアンケート機能とか、そういうのがあればいいなあ。
こつこつ毎日執筆して定期的に更新している人は本当にすごいなあと思う。
今は社会人になったので、少なくとも食事に関する懸念は減った。そして一人暮らしではないので極端な生活を送ることもなくなった。
この機会にもっと人間らしく健康的な暮らしを送り、執筆を習慣づけて計画的に更新できるようになりたいなあ、と思いつつ、毎年毎年同じ目標を掲げている。
そこはまあ、今後の自分次第だ。
余談だが、この文章の冒頭部分だけを書いてしばらく放置していたのだけれど、その間にバームクーヘンをホールで三個貰った。
これが世に言う引き寄せの力だろうか。
まあ時節柄、異動や何だの関連で菓子類を頂くことが多いからなんだけれども。
因みにバームクーヘンだけじゃなく甘いものは大体好みです。
もっと引き寄せられてくれて構わないんだぜ……
(2016/03/30)
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