名作の流儀(2016/03/31)
朝起きたら☆がついていた上にレビューまでついていて大変笑いました。ありがとうございます。まさか飯テロと言われるとは光栄である。
因みにこれも効能なのか、今日も今日とてまたバームクーヘンを頂いてしまった。職場で吹き出すかと思った。おかげさまで我が家の冷蔵庫にはおかずたちを差し置いてバームクーヘンがでんと鎮座している。
明日の朝食はバームクーヘン確定である。嬉しい。
この流れなら言える。
――私には、かねてより抱いていた持論がある。
とはいっても、既にそこここで100万回くらい言われてることだと思うが。
それは、小説や漫画などの媒体に関わらず、
『食事が美味しそうな物語は概ね名作である』
というものだ。
ほーら聞いたことあった。
だけど実際、強くそう思う。
なおグルメを主体とした作品は除く。
そもそも食事がメインである場合には美味しそうに見えるのは前提だろうし、ことそちら方面の知識が疎く、まともに読んだものは食戟のソーマと孤独のグルメくらいなので言及は控える。
あくまでメインは別のところにあり、物語中にさり気なく出てくる食べ物たちがニクい仕事をしてくれるもの、だ。
有名どころでいうと、
映画ならスタジオジブリ作品。
小説なら『ハリー・ポッター』シリーズ。
漫画だと色々あるだろうけど、個人的に好きなのを挙げれば『3月のライオン』とか、その辺りだろうか。
これらの作品を読んだ人の中には、海賊たちが貪る飛行船の食事を羨ましく思ったり、バタービールに憧れを抱いたり、「だよね……甘いモノとしょっぱいモノはエンドレス……まじギルティ……幸せ……」と共感したような経験があるかもしれない。
かくいう私も、USJにて念願のバタービールを飲んで「これ、私は好きだけど甘いもの苦手な男性はきついんじゃなかろうかハリーこれ好きってマジかお友達になってください」との感想を抱いたし、一人暮らし時代には「ちぇっ、ちぇっ、ベーコンなんて焦げちまえ!」と言いながらベーコンを焼き、うましかてを頂いていた。焦がしてはいない。
前述したように、これらの食べ物は決して主役ではない。
けれど、作品を鑑賞する人にある種の鮮烈な印象を与え、記憶に残す。
それはただ主軸となる物語を紡ぐだけに留まらない、活きた生活を描いているからなのだろう。
二次元の世界でありながら、三次元の住人である我々を垂涎させるリアリティを伴った食事風景を描き出すことで、人や世界がただ物語を動かすだけの機械的なパーツではなく、まるで生身のような血肉を伴ったものとしてくっきりと浮かび上がってくるのだ。
何もこれは食事に限った話ではない。掃除でも洗濯でも、生活感がにじみ出る場面は物語や登場人物にしっかりとした輪郭を与えてくれる。けれどその中でも特に食事というのは、描きやすく、そして訴えかけやすいのだろう。
実際、食べ物というのは人間の生活に欠かせないものだ。
と書いたところで「え、未来が舞台のSFでよくある、ビタミン剤みたいな錠剤とかで全てのエネルギーを摂取してるような世界観の場合はどうなるんですかー?」と脳内で私が煽ってきたがとりあえず無視する。揚げ足をとるんじゃない。
とにかく食事は特に生きる上で切り離すことが難しい、故に。
他の物事よりもより強く、人の感覚へ訴えかけるんじゃないかと思うのだ。
だから私は、特に日常から遠く離れた世界を描いた話こそ、『生活』が重要だと思っている。
ので、小説を書くときには冗長にならない程度に、機会があればできるだけ彼らの生活感がにじみ出るような場面を入れるように意識している。
(それが、意外と難しい。)
こう言っておきながら、あんまり自分の小説にそういう場面、ない気がするし……。
ところで、スタジオジブリの『天空の城ラピュタ』を観たことがあるなら、『ラピュタパン』というパズーとシータが食べていたあのパンに思いを馳せた人も少なく無いだろう。
そして実際に食べようと思いたち、すこぶる忠実に作った結果、非常に微妙な表情でパンを食むはめになった経験をした人もいるんじゃないかと思う。私もそうだ。
まあパンの上にただ目玉焼き載せただけだとそうなるよね。
だから、ちょっと改造してラピュタパンを楽しむ。
食パンはきつね色になるまでこんがりと焼き上げ、すぐにバターやマーガリンを薄くのせる。(個人的には、熱で全てバターが透明になってしまう状態が理想である。)
目玉焼きは、ベーコンがあればベーコンエッグで。ベーコンの油だけで焼き、香ばしい香りが立ち上ってきたところで卵を落としたら、フライパンの中にひとさじの水を入れて蒸し焼きにする。
黄身がまだ半熟の頃合いでさっと引き上げたら、ここで味付け。
普段、目玉焼きを食べるときには醤油派なのだが、パンにのせる場合にはどうしても醤油がこぼれてしまうのが気になる。ので、この時はケチャップをかける。
それをパンの上に乗せれば出来上がりだ。
ケチャップの赤も加わり彩りは鮮やか。出来立ての香りに食欲は否応なしにそそられる。
半熟なので、黄身がこぼれてしまうことがあるからお皿は必須。
こぼれてしまった黄身は、後でパンの耳につけていただく。
卵にパンという定番食材で、朝食にうってつけだ。実際、一時期こればっかり食べていた。
卵の焼き加減とか調味料とか、人によって好みはあると思うが、おすすめである。
見た目がもはやラピュタじゃないとかは気にしてはいけない。気分だ。
飯テロってこうですか。よく分かりません。
(2016/03/31)
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