謝罪社会 他

@cho3s116

謝罪社会 その一

「申し訳ありませんでした」

今夜のニュースはある会社の謝罪会見だった。なんでも製造した食品に異物が混入していたらしい。その数実に6万個。全て回収して廃棄処分するらしい。

「今日もこんなもんか」

このニュースに対して多くの人がこう思っているだろう。ここ一週間ほどこんなニュースばかりだ。昨日はある会社が1万人分の個人情報が漏れたといって開いた会見だった。一昨日はある市会議員の政治資金の処理ミス。その前に至っては多くの人が覚えていないはずだ。そのくらい毎日謝罪会見は開かれていた。

「もう少し刺激的な謝罪を見たいなぁ」

多くの人がまたこのようにも思っているだろう。不謹慎ながら一番刺激的なのは人命に関わる会見だ。会見場に漂う緊張感。重々しい謝罪の言葉と響き渡るフラッシュ音。さらには会見に対する街の声まで含めてこれに勝る会見はなかなかない。

他にも云百億円にのぼる不正や、国民的芸能人のスキャンダルなどなんでもいい。とにかく刺激のある会見をみんな欲した。

なにせ今は空前の“大謝罪ブーム時代”なのだから。

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