第2話

TVを見ながら、ぼんやりしていた。

TVでは、かくも著名な方々がならび、死生観を語っている。

その中の一人がこんなことを言っている。

「人は、結局ひとりなのです。」


…そのほかにも色々と話していたのだろうけれど


なんだか反発心を覚えて、感情が波打ちはじめ

途中からの内容は入ってこなかった。

「人は生まれる時もひとり、死ぬ時もひとり」

何度か聞いたことがあるし、その通りなのだろうと思う。


でも、こんなに沢山の人たちに囲まれて、友人もいて

尊敬され、彼らの言葉や話を聞きたい人は大勢いる、

たくさんの笑顔に包まれている…そんな彼らに 全くの「ひとり」

なんてきっと想像もできないだろう。

一番縁遠い世界の住人だ。

そんなあなたたちが、そんなことを言わないで!


静かに、彼女のなかで感情が逆立っていた。

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ひかり しばさん @nodoka98277

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