物件選びのポイント

 初めて東京に出てくる人間にとって、まず首都のなんたるかがそもそも分からないのではなかろうか(ちなみに筆者はと言えば「東京=全て都会だろう」というどうしようもない勘違いから、最初の住居を葛飾は堀切菖蒲園にしてしまい大後悔した経緯がある)


 よってこの貢では、賃貸にせよシェアハウスにせよ、とかく寮以外の全ての住居選択において、軽くチェックしておくべき点について触れたい。




□交通の便について。

 山手の沿線沿いであれば基本間違いは無いが、家賃を鑑み少し離れた所を選ぶ場合は要注意だ。


・急行は止まるか

 郊外を選択する時は、往路復路で急行や準急が止まるのかを確認しておこう。 例えば池袋を拠点としたいのなら、埼玉県の成増や和光を選んだほうが早い。理由は特急の一本でアクセスが出来、その所要時間も僅か10分強だからだ(逆に筆者が最初に選んだ堀切は、急行も止まらず終電も早いと、実に散々な有様だった)


・終電は何時か

 可能であれば、24時を過ぎても終電がある路線を選ぼう。


・最寄り駅はいくつあるか

 メインとして用いる路線以外にも、徒歩圏内にいくつ地下鉄や私鉄の駅があるか調べておこう。兼業の際には多いに役立つ。


・郵便局、集配所は近いか

 仕事の時間が不規則な場合、再配達すら不便なケースはまま生まれる。そういった点も視野に入れて、徒歩圏内に上記の施設があるかどうかは把握しておいたほうが良いだろう。




□周囲の治安について

 夜間の安全や犯罪の多寡について、もちろんネットで調べる手もあるが、もっと直感的に把握する方法がある。


・落書きの有無

 商店街や町中、シャッターや石垣。そういった日常の風景に落書きはどれだけあるだろう。もしそれらが多い地域であれば、選ぶ際に一考を要した方が良いかもしれない。


・コンビニのトイレ

 コンビニのトイレでなんの張り紙も無ければ、その近辺は治安が安定していると考えて良い。次に「お声をおかけ下さい」「当店にトイレはございません」の順に民度は下がる。トイレが無いなんて事は無い。客のマナーが悪すぎる為に、使わせない様になっただけの話だ。


・田舎の場合、昼と夜の差異

 騒がしい歓楽街を避け、郊外を選んだからといって安心は出来ない。昼の静かな時間帯だけでは無く、夜の状況についても不動産業者に聞いておこう。これは知人のケースだが、通勤のため郊外の物件を選んだは良いが、夜は暴走族が走り大層うるさかったのだそうだ。田舎ならではといった所だが、留意は必要だ。




□中華料理屋側の物件は避けよう

 これは主にゴキブリが出る為だ。中華に限らないが、油を頻用する飲食店の側は須く危険だ。特に隣や一階がそうだった場合、先ず間違いなくゴキブリの被害を受ける。一例を挙げると、筆者が目星をつけていたシェアハウスが、正にこのケースで大量発生に悩まされていた(その後ゴキブリが大の苦手である筆者が、こっそりと辞退したのは言うまでもない)




□住むならば二階以上に

 一階は治安、衛生の両面で危うい。先ず泥棒が入りやすい上に、湿気が溜まりやすく、当然だがゴキブリも出る。実際筆者が最初に住んだシェアハウスでは、ノートPCの盗難があった。この時窓は開け放たれたままだったのだ。




□可能ならば最上階に

 数階建ての建物ならば、可能な限り最上階を選ぼう。これはゴキブリの事もあるのだが、もう一点、都会ならではの孤独死に因む。


 筆者の知人(アニメーター)の話だが、ある日天井からぽたぽたと腐った液体が滴り落ち、それはすぐに蛆を伴い始めたと言う。結論から言えば上階の住人が死に、死体が腐る事でかかる事態を巻き起こした訳だが、悲惨も悲惨。家電製品から布団に至るまで須くが蛆に侵され、換気扇や通風口からは蝿が飛ぶ始末だったそうだ。こんなケースは稀かとは思うが、万が一という事もある。どうせ住むのならば、上階に人が居ない物件を選ぼう。そうすれば足音だって聞こえない訳だから。




□多少高くても、日照の良い部屋を

 とくにシェアハウスの場合、とにかく人を詰め込める様、通気を一切考えない間取りとなることも多々ある。そうなると一週間家を空けただけでカビが蔓延り、総額数万規模の損失を出してしまう事だってありうるのだ(実際筆者の居た物件でも、これを理由に裁判にまで発展したケースがある)




□総括

 住居全般に言える事は一通り記した。せっかく安いからと引っ越しても、盗難を始めとした犯罪に巻き込まれてしまっては意味が無い。ネタを稼ぐだとか余程の目的がない限りは、閑静な住宅街を選んだほうが精神衛生上も好ましいだろう。












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