創作者の為のハローワーク

寮

　これは最も元手がかからずに済む方法の一つだ。

　筆者の場合は愛知県（みよし・岡崎）神奈川（藤沢・関内）の四カ所で寮生として暮らしたが、それらの経験に基づいて記してみたい。

□寮とは

　勤務する従業員の為に、所属する会社の借り上げ、または委託によって存在する住居を指す。オール無料なる天国もあるが、殆どは給料から棒引きという形式とお考え頂ければと思う。以下に候補地をあげていく。

・神奈川県藤沢市

　某トラック工場が居を構える都市。今は分からないが、筆者が居た数年前は寮費がタダ（光熱水費含む）だった為、創作との兼業を踏まえると真っ先に思い浮かぶ優良企業の寮である（なお期間従業員の頁を参照されたしだが、自動車工場関連は夏コミと冬コミに必ず休みになる為、そういう意味でも都合が良い）なお、運良く湘南台の寮に割り当てられたのなら、60分〜90分でビッグサイトへは到達出来る。交通費も往復で2ｋ少々と、充分に許容の範囲内では無いだろうか。

・関内

　こちらは水商売関連の寮となる。月額は60k程度と考えて欲しい。特筆すべきはビッグサイトへのアクセスの良さ。京浜東北線を用い大井町で乗り換えれば、乗り換え一回の往復も1.5ｋでイベントに向かう事が出来る。ただ留意すべきは、水商売という不規則な職業上、望んだ日に望んだ休みが得られるとは限らない点だ。なお、ここは飽くまでも筆者が住んだというだけの話で、風俗業に限れば山の手沿線を始め、都内にも候補地はごまんとある（完全個室の寮かどうかは事前に問い合わせの事）

・新宿二丁目ほか

　この辺りになると、水商売も出張ホストの境界に差し掛かる。これらの仕事にも寮生は存在し、店借り上げの部屋だったり個室だったりに住居を充てがって貰える。寮費は無料か、もしくは月10kと格安な代わりにプライベートに乏しく、映像や絵画といったスペースを要する創作との兼ね合いは難しい。俳優業や文筆活動ならまだ可能性があるといった所か。なお筆者はこのタイミングでは自身の住所を有していた為、寮生という選択肢は特に無かった。

・日雇い関連

　ちなみに日雇い現場も、山の手沿線上に寮を有している。ただしここに入った場合、休みは融通が効かず、優先的にキツイ現場に回される羽目になるから注意はしておいたほうが良い。筆者はたまに勤務する程度だったが、入寮者の話を聞く限りでは煙草の煙も酷く、精神衛生上あまり好ましいとは言えない環境の様だからだ。

□メリット

　やはり手持ち無しでも転がり込める点だろう。大概は勤務地にほど近く、立地と比較すれば多少は安く抑えられている。とりあえず上京はしたいが、敷金礼金その他一式など、初期費用を用意できない方には是非お勧めしておきたい。

□デメリット

　飽くまで職務に従事しているからこその入寮資格、という事で、精神的には安寧を得難い。光熱水費や周囲との関係、個人的に最も気楽だったのは神奈川の自動車工場寮だったが（傍目には一般入居者と変わらない）それ以外はやはり幾分かの負い目が常に付き纏い、早く自分の部屋を借りたいという欲求に駆られ続けていた。

□総括

　仮に給与が250kとして、寮費が60kなら棒引きされ180k。そこから保険だ何だと金が飛べば、実際に使える額は150kを切るだろう。実働時間と照らしあわせ、創作に割くだけの時間と金が残るかはきちんと考えたほうが良い。

　その上での筆者のお勧めは、やはり家賃光熱水費無料の神奈川の自動車工場だ。若し地方からの上京を悩んでいる様であれば、一考に置いて欲しい。