会場撤去・設営

□時給:900〜(深夜帯・残業時は割増)

□備考:軍手・カッター・作業着は自前




□至るまでの経緯

 もともと方向音痴だった筆者は、上京後ビッグサイトへのルートについてすら迷う日が続いた。そこで思いついたのは「ならば仕事として現地へ向かう事で、自ずから道筋を覚える事が出来るのでは無いか。そしてあわよくば、イベント後そのまま撤収の仕事を入れる事で、参加費を回収出来るのではないか?」という発想だった。それらがどの程度達成されたかは後述したい。




□業務内容

 目的地の駅出口で、作業員同士が待ち合わせて現地まで移動する(チームのリーダーが必ず1人居て、事前に連絡先を通知される)


 作業は現場担当者の指示に従いながら、展示物を設置・撤去するだけの軽作業で、空気さえ読み誤らなければ然程の困難は無い。急いで失敗(破損等)をやらかすよりは、先輩の後について落ち着いて作業に従事したほうが良いだろう。


 作業終了後はまた一同に集まり、リーダーが一括して事務所に報告を入れるか、それに併せて各人もネットから報告を入れて解散となる。勝手に帰るなとは度重ねて言われるかと思うが、その辺は常識の範囲内だ。




□デメリット

 作業そのものは簡単で、舞台裏を垣間見れるのは確かに楽しい。だがそれ以上にデメリットのほうが明らかに大きいと筆者は考えている。


 一つは移動時間。筆者の家から(一例だが)国際展示場までは概ね60分がかかり、さらに駅までの時間や遅延等の事態を考慮すると、最低でも90分前には家を出る事になる。さらに作業開始時間の30分前が現地集合時間で、その10分前には駅に着いていなければならない。つまり前後だけでも、給与の発生しない無駄な時間が4時間も生まれていると言っていい。


 さらに交通費の問題。この手の仕事は事務所から出発した前提で、最低限の交通費で算出される。つまり往復で150〜500円程度の、ほぼ確実に実際の移動料金より安い額しか貰えないという訳だ。


 おまけに移動中の電車で座って眠れるかといえば確実とは言えず、撤去設営の僅か数時間の勤務の為に、その勤務と同じ程度の時間を無駄に消費する割にあわない事態を引き起こしてしまう。


 そういった幾つかの理由により、筆者はこの仕事は従事して数回で副業のリストからは外した。




□総括

 国際展示場を含む主要イベント会場へのルートを覚える為に、数回従事してみるのは有りだと思う。


 だが冒頭で示した「イベントの後、そのまま作業に入る事で参加費を回収する」という筆者の目論見は、残念ながら無理である事が分かった。

 というのも、会場近くの駅にイベント終了の60分前には集合しなければならず、撤収と移動を含めると90分前にブースを畳む必要がある為だった。

 

 早期完売する程の人気サークルでは無く、寧ろ新刊を出せばその分の赤字が生まれるサークルであればこその措置である訳で、来てくれるかもしれないファンを捨て在庫を抱え、90分も早く撤収するなどとは到底許容の出来る筈も無い。


 そういった次第で筆者としては、会場へのルートだけでも把握した時点で切ってしまうのが手っ取り早いのではと結ぶ次第である。


 草々。






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