出張ホスト

□月給:300k〜

□期間:一年

□支払日:完全日払い


□備考:コンドーム・イチジク浣腸必須


□収入:★★★★★

□兼業:☆☆☆☆☆

□危険:★★★★☆

□ネタ:★★★★★


□実働時間:不定期




□至るまでの経緯

 風俗店勤務時、筆者は嬢とこんな雑話を交わした「今日の客、普段は男とヤッてて、結局男のほうが気持ちいいって帰ってったの、酷くない?」と。嬢の話によれば、どうやら客は普段は男娼を利用していたのだそうだ。そこで筆者は考えた「成る程。女の子が身体を張って稼げるのなら、男にだってそれは出来る筈だ」と。周囲からはもう落ちるに落ちきったと嘲笑われる惨めな渡世。この筆者に最早迷いなど、あろうはずも無かった。




□業務内容

 そもそも出張ホストって何だよとお思いの方に一言。前述の通り男が男に性的なサービスを提供するという仕事で、新宿二丁目やらウリ専とでも言えば察しがつくかも知れない。それでも分からない場合は適当にググって欲しい。


 とは言え女性と比べれば明らかに需要が少ないのが男性市場だ。女の子なら手コキで済む所で、男ならもう少し過激なサービスをしなければ満足して貰えない場合もある。残念ながら鑑賞でもしたくなる様な絶世の美男子でもない限りは、相当過酷な職場である事だけは覚悟しよう。


 よくあるのはバー形式からお客と飲み、そこで気に入られればお持ち帰りという二丁目パターンだが、筆者の場合下戸だった為にこれを断念。電話で現地か、店借り上げの個室に向かう文字通りの出張ホストとして活動を始めた。


・接客

・キス

・フェラ

・手コキ

・アナルセックス(舐め)


 ざっくり言えばこんな感じだ。アナルセックスは自分が相手を掘る事もあるし、逆に自分が掘られる事もある。大概ローションもコンドームも店から支給はされるが粗悪品の為、痛みが気になるなら自前でそれなりのものを用意しよう。 



□待ってくれ、同性相手にアレは勃つのか?

 ご安心を。バイアグラ的なサムシングで対応は可。もっとも緊張でふにゃふにゃになってしまう事もあるけれど(※青くて菱型のアレね。一口噛めば朝までビンビングって寸法よ)まぁそこは慣れってヤツだ。目の前のおっさんを美少女に置換するなり何なり、各自それぞれの方法で好きにやってくれ。ちなみに筆者はノンケだ。繰り返し言っておく、ノンケのそしてロリコンだ。




□具体的にどうすりゃいいんだ

 男と女でやる事を、同性同士でやるってだけの話だ。ただし筆者の場合に悲惨だったのは、初ラブホすら客とだったって事ぐらいだ(それだけ遊んでいなかったんだ。制作にひたむきだったんだ。それでも結果は出なかったんだ。泣こうな)




□初体験は痛いのか

 言うほどでは無かった(単に相手が小さかっただけとは言えない)しかし処女喪失のその日に絶望的に乱暴な客が連続し、菊座に五指を入れられたターンのエンドフェイズに、激しい腹痛を覚え死を覚悟したものの、深夜には治っていた。人体ってのは中々に頑健だ。血を垂らしながらもそれでも前へ進もうとまた立ち上がる。




□ただしシャワ浣と浣腸はやっとこうな

 とは言えケツ穴ってのは本来、性交渉の為の器官では断じて無い。よって洗浄だけはどうにかせねばならん。


 とは言え浣腸はドラッグストアで売っているイチジクで充分。補足までにシャワ浣ってのは、シャワーのヘッドを取ってホースをケツ穴にぶちこみ、それで以て排泄物を押し出す洗浄方法だ(アレだよアレ。男向けのエロ本で、女の子に牛乳浣腸したり何だりするアレ。アレを手前でやれってだけの話だ)


 なおそういった都合で、都会の安いラブホのシャワーは衛生的にNGだったりする。ご利用の際は是非頭の片隅にでも(と言いながら、金持ちの客は平気で高級ホテルの男娼を呼んだりする訳で、心に穢れ無き寝所など、所詮この世には無いのかも知れない)




□実入りは良いのか

 本題だな。ここもまあざっくりと記そう。


・40m:5k

・60m:7k

・90m:9k

・120m:12k

・泊:20k

・貸切:50k


 こんな所か。分かりやすく言えば実働2hで大概の仕事の一日分の稼ぎになる。一晩寝れば大が二枚だ。おまけに交通費と食費を持つのは客。女の子ほどでは無いにせよ、このご時世じゃあ充分な稼ぎと言って良いんじゃないだろうか(つまり一ヶ月で10日も泊まりの仕事が入れば、それだけで下手な正社員の月収を上回るって寸法だ)


 一応サービスの提供者をボーイと呼ぶが、個室の清掃と幾つかの雑用を除けば、事務所か家での待機が可。つまりはその時間を利用して本を読んだり自身の創作を進める事が出来る訳だ。どうだい、だんだんそう悪くない話に聞こえて来たろう?




□他のメリットを挙げてみよう

 普通に生きていれば先ず行けない様な高級ホテルに呼ばれたり、料亭やレストランにも連れて行って貰える。観劇や旅行も同じだ。筆者に限って言えば、この仕事に従事している期間だけで、九州に山陰、関西に東は茨城までと、実に幅広い地域を自費無しで旅させて頂いた。歌舞伎や演劇に親しめたのもこの頃だ。そして分かった。持たざる者が持てる者と同じ土俵に立つには、当然の如く犠牲や対価が必要なのだと。それにもっと早く気づくべきだったのだ(なお余談ではあるが、エロゲで女の子が無理やり犯されるシーンの描写などは身を持って知る事が出来る。BL?フハハここがリアルなBLだわボケが。なんてな。これも中々貴重なものだ)




□人生はネタの宝庫

 上野の映画館で女装したおっさんをハメたり、緊縛して吊り下げたり、4Pで気持ちええんじゃしてみたり、剣道のコスプレでしばき倒したり、挙句の果てにはフィストファックの域にまで到達したり(※念のため言っておくが私はする側で、される側では無い)見ろよこの両手はもう穢れきっているんだ。君を抱けないくらいに(中略)


 一例を挙げるだけでも、さるミッションスクールに通っていた初老の男性などは、幼年期そこで受けた先輩女子からのイジメが原因で女装に目覚め、その女装に興奮する同性を見てさらに深みにハマっていくなど、なにそれどこののエロ漫画だよというエピソードがあちこちに転がっている。嘘の様に聞こえるかもしれないが、どっこいこれが事実なのだ。


 身体を張ってネタを集めたいと希う諸君。今こそ虎の穴ならぬケツの穴に諸々と突っ込んだり突っ込まれたりしてみないか。※なお後ろの穴に対するフィストファックは、数年の調教と直腸をなぞる計画的な挿入が求められるので素人は決して真似をしない様に。こう手を入れて腸に沿ってくいっと、おい待て何をする最後までうわー(自主規制)




□総括

 個人的な話だが、この仕事を経たおかげで創作の道に戻ってこれた向きがある。30を過ぎた所で流石に体力に限界を感じ引退はしたが、もっと早く知っていれば、或いは違う道もあったのかも知れないと今ならば思う。


 若さとは短く、悩む間に直ぐに過ぎてしまう。筆者の場合は就業中安定して店内3位をキープ出来ていたと言う話だから(これは退店の際に知った)大体の余人にも出来なくは無い仕事だろう。


 学生時代、親の金で機材を揃え、その上であちこち旅行に行っていた先輩から「世界を知った方がいいよ」「友達作れば」的な事を言われ、酷く腹が立った事を覚えている。(結局その先輩は某アニメ会社に就職し、撮影の監督にまで上り詰めている訳だから、正論には違いなかったのだろうけれど)


 ただそれは飽くまでも才能から何もかもを持っている人間の正論に過ぎず、殆どの人間はインプットの為にアウトプットを削るか、その逆かの選択に迫られてしまう。そしてその選択をぶち壊すただひとつの方法は、身体を売ってでも金を稼ぐしか無かった訳だ。


 もし貴方が今若く、お金と時間の狭間で斑紋としているのであるとすれば、筆者は控えめにだが肩を叩いてあげたい「魂以外の全てを、売りに出す覚悟はあるかい」と「ただし性病には気をつけて」そう付け加えて。


 筆者は177,64、31。Pサイズは17や。待ってるで。

 嗚呼、何をや……


 草々。

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