9話

「もうそろそろTropical《トロピカル》へつくぞ」

「それは楽しみ!」


蛍ちゃんに案内され、私は街の中央にあるという大きなビルに向かっている最中です。


「Tropicalが入ってるビルはな、この街のほぼ中央に位置していて、いわばこの街のモニュメント的な役割をしているんだ」

「ほげぇ〜〜! そんなんだね、そんなにすごいところなんだ」

「君が行きたがっているTropicalはそのビルの一階にあるお店なんだ。いろいろな専門店が所狭しとしのぎを削り合うこの街でも人気の高いお店だぞ」

「へぇ〜〜、それは楽しみ!わくわく」


蛍ちゃんの話を聞いていると、私が目指すTropicalはとてもすごいところらしいです。

今からわくわくしてしまいます。


「そういえば、蛍ちゃんもそのビルに用事があるって言ってたけど、ひょっとして蛍ちゃんもTropicalに何か用なの?」

「いいや、私が用があるのはその上にある二階の店だよ。まあ、用というのもおかしいかもしれないけど……」

「そうなんだ。そのビルにはTropical以外にも上に4つの店が入っていてな」

「えっ、じゃあそのビルって5階建てなの?」

「いや、ビルは6階建てだよ。一番上だけ空いているんだ」

「へぇ〜〜、そうなんだね」


こうして蛍ちゃんにいろいろと教えてもらいながらテクテクと歩いているうちに、それらしきビルのような建物が見えてきました。


「あっ、あの先の方に大きなモダン風のビルがある!!」

「ああ、あれがTropicalがあるビル《有頂天》だッ!」

「ほ、ほげぇぇ〜〜〜〜〜!!」





私の目の前にあるのは、それはそれはオシャレで大きな建物でした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

せんもんてん街 松葉葉志 @matuba

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ