8話
「へぇ〜〜! この街には、いろいろな"専門店"があるんだね」
「ああ、そうさ! この街にはたくさんの店があるけど、その9割ぐらいは何かしらの専門店なのさ」
「ふむふむ、なるほど」
私の目指すお店へと向かう途中、蛍ちゃんは歩きながら私にこの街のことについていろいろと教えてくれています。
この街にはどうやらたくさんの"専門店"があるようです。
「さっき食べたあの大将の店も、あくまでも寿司屋じゃなくて"かっぱ巻き"にこだわった専門店だっただろ?」
「うん、すっごく美味しかったよね!!」
「あれだって、何か一つにこだわっているからこそ出せる独自の旨さなんだよ。もしも、かっぱ巻きだけの店ではなくてただの寿司屋だったら、かっぱ巻き以外にもいろいろと握らないといけないし、自分の100%の力をかっぱ巻きにだけに注げないだろ?」
「確かに、普通のお寿司屋さんならかっぱ巻き以外にも、いくらとかたまごとかサーモンとか………いろいろやらないといけないね!」
「あの大将で言うなら、円グラフまるまる、つまりかっぱ巻きというジャンルに100%全振りしてるってことさ」
「ほげっ、改めて聞くとすごいんだね!この街のお店は……」
専門店と言えば何かを専門的に扱ってるお店ってイメージだけれど、その専門店の中でもさらに専門的になった専門店って感じかな?
「より的を絞ってお店をやってるって感じなんだね………あっ!?」
「ん、どうしたんだ?」
前の方を見てみると、早速蛍ちゃんの言っていた"専門店"が見えてきました。
「あそこに二軒並んだお店があるけど、あれも専門店?」
「ああ、あれか。私もたまにだけどあそこの店には行くことがあるぞ」
「へぇ〜〜、一体何のお店?」
二軒とも人の行き来が多い結構大きな道沿いにあるのですが、こじんまりとしていて、でも活気が溢れているのがわかるお店です。
右の方のお店は外観も派手というかカラフルで、何だか可愛らしいお店です。
「ふふッ、さぁ〜、何の店だと思う?」
蛍ちゃんはそう言いながらほんのちょっといじわるっぽく笑いました。
私もムムッとなり、当ててやろうという気になりました!
「えぇっと〜〜、あっ、右の方のお店は美容室かな? カラフルで派手というか、若い人たちに人気の店とかだったり!」
「ふっふっふっ………、残念! 言っただろ? 専門店の中でもさらに細分化された専門店がこの街には集ってるって」
「うぅぅ………はずれちゃったよ」
残念……はずれちゃった。
まだまだ私の考えは甘かったようです。
「"髪をカットする"って意味で専門的かなって思ったんだけどなぁ〜。それじゃ、あのお店は一体?」
「あの派手な店はな…………"黄色の絵の具"の専門店だぁーー!」
「ほげぇ〜〜〜!! 絵の具の専門店……しかも黄色だけッ!!」
私の予想のはるか斜め上でした。
絵の具の中でも、黄色い絵の具しか取り扱っていないようです。
「私も小学生の頃、よくあそこの店で黄色の絵の具を買っていたなぁ〜〜」
「いやいや、黄色以外のはッ!? 赤色とか青色とかはぁ〜〜!?」
右側が黄色の絵の具専門店なら、左側のお店は一体何なのかな?
私がそう疑問に思ってた矢先、蛍ちゃんは私にまたクイズを出題するのです。
「今度は当ててみろよ! 左側の店はな一体なぁ〜んだ?」
「ほげぇ………今度こそ当ててみせるよ!じぃーーー」
左の方のお店は、絵の具屋さんと比べてみると落ち着きのある雰囲気というか、大人っぽい感じがします。
外壁はシックな感じの黒色の外装で、大人の人が買い物でもするのかなって感じの。
一体なんだろう………ただのお店じゃなくてとてもピンポイントな商売のお店というのがポイントです。
「う〜ん………もしかして、コーヒー専門の喫茶店かな? お店の外壁がシックな感じの黒色で、大人っぽい雰囲気だし! しかも喫茶店の中でも出す飲み物はコーヒーだけのお店だったりして!」
今回は自信があります。ほんのちょっとだけだけど。
「あぁ〜〜惜しいッ! ハズレだけど、いい線いってると思うぞ」
「ほげぇ……ハズレちゃったよ。蛍ちゃん、正解は?」
いい線をいっているらしいから、私の回答に近いお店ということになるよね。
気になります。喫茶店ではあるのかな?
「あの店はな…………松崎し○るの生写真の専門店だぁーーー!!」
「ほげぇぇぇ〜〜〜〜〜!!! 専門的過ぎるよぉ!! それに、どこがいい線いってるのッ!?」
「黒色から何かを連想したところが良かったと思ったんだけどな」
すごい専門店です。
でも、松崎しげ○さんの写真なんて、誰が買うんでしょうか………。
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