7話

「ごちそうさまでした、大将さん! また来ますねぇ〜〜〜!!」

「おうッ、またいつでも来な、お嬢ちゃん!」


お昼を済ませ、私はお店を後にしました。

大将さんはお店の外まで出て、私たちを見送ってくれます。

私も美味しいものを食べさせてもらったお礼を込めて、私もそれに元気いっぱいに他を振って応えました。


「蛍ほたるちゃんも、また来てくれよぉーーー!」

「ああ、また」


"蛍ほたるちゃん"………?

私と一緒にお店を出たこの人は、どうやら蛍さんという名前みたい。


私たちはお店の中で一緒にあの軍艦を食べいるうちにすっかり仲良しになりました。

私と蛍さんは、ふたり仲良くテクテクと歩きます。


「へぇ〜〜、蛍さんって名前なんですね?」

「ああ、私は佐藤蛍さとうほたる。よろしくな」


蛍さんは私の前にスッと手を出してきました。私の手よりも少し大きく、でも白くて綺麗な手です。

私もそれに応えるように、ギュッと握りました。


「よろしくお願いしますね、蛍さん!」

「蛍さんかぁ………な、なんだか恥ずかしいなぁ………」

「ほげっ?」


なんだろう、この感じは……。

蛍さんは私よりも背が高くと、脚もスラッとしてて、モデルさんみたいな雰囲気です。

声もちょっとハスキーというか、カッコよくて大人っぽい感じの人なのに、こうして照れて頬を赤くして、ちょっとモジモジしてるところを間近に見ると、なんか可愛く思っちゃいます!


「………イイッ、なんか萌えます!」

「はっ? 一体何のことだ?」

「えっ、あ…いや、何でもないですぅ!!」


蛍さんはどちらかといえば"かわいい系"よりも"美人系"って感じかな。


なんと例えるのが一番良いかな……?

"頼りになる歳上の美人お姉ちゃん"って感じかな。

でも、さっきの照れてる顔、可愛いです。


「その……蛍さんってのはやめてくれ。なんだか照れるし、それにフランクに接してもらってもいいよ」

「え、そうですか?じゃあ、これからよろしくね、蛍ちゃん!」

「蛍さんかぁ………"さん"が"ちゃん"になっただけだけど、まあいいか」


こうして、私は「蛍さん」ではなく、彼女のこと「蛍ちゃん」と呼ぶことになりました。


「そういえば君は、この辺りでは見かけない顔だと思って話してたけど、用事があってこの街にやって来たんだろ?」

「あッ、そうだったぁーーー!! うっかり忘れちゃってたよ」

「おいおい、大切なことなら忘れずに覚えておけよ」


そうでしたそうでした!

私がこの街にやって来た理由、あるお店を訪れることです。


「実は私、この街の真ん中にあるオシャレなお店を訪れないといけないんです」

「街の真ん中………オシャレ………ひょっとして?」

「えっと、そのお店までの道のりを描いた地図と、あとお店の情報が載ってあるパンフレットがここに。うんしょ、うんしょっと_____」


手荷物を入れてあるバッグの中に手を入れて、地図とそのお店のパンフレットを取り出し、蛍ちゃんに見せることにしました。

この街の人なら、知っているかもしれないからね。


「えっとね、私が行きたいお店って、このパンフレットのTropical《トロピカル》って名前のお店なんですけど」

「Tropical……やっぱりか!」

「ほげっ?」


蛍ちゃんは今確かに「やっぱりか!」と言ったけど、一体何のことを言ってるのかな?

蛍ちゃんは何かを察したような、それでいてスッキリとしたような顔で私に言うのでした。


「まさか、マスターさんの言ってた子だったなんてなぁ………はは」

「マスターさん? あのぉ………蛍ちゃんが言っていることがちんぷんかんぷんなんですけどぉ〜〜!」

「いやいや、こっちの話だよ。Tropical《トロピカル》へ行きたんだろ?なら、私が案内するよ」

「え、いいんですかぁ!?」

「ああ、私もこれからそこへ行くし。ついでだし、歩きながらこの街についていろいろと教えてやるよ」

「うわぁぁ〜〜〜、ありがとうございます、蛍ちゃん! この街の人は親切だぁ………ほげぇ〜〜〜!! 」


こうして私は、蛍ちゃんに目的のお店まで案内してもらうことになりました。



「おい、また『ほげぇ〜〜!!』ってのが出てるぞ」

「あっ、つい嬉しくなっちゃって……えへへ」





また一つ、勉強になりました。

この街の人は、優しいです!!

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