6話

「とっても………とっても美味しいですっ!!」

「それは良かったな………あと、その『ほげぇ〜〜!』ってのは君の口癖なのか?」

「あっ、興奮しちゃうとつい口に出ちゃうんです。えへへへっ」


口癖の「ほげぇ〜!」が思わず出てしまう程、本当に美味しい美味しいかっぱ巻き、いえかっぱ軍艦だったのです。


「いやぁ〜〜〜、お嬢ちゃん! 元気があって良いね!! そういう風に旨そうに食ってもらえると、こっちとしてもありがてぇ限りだよ」

「いえいえ、本当に美味しいですよコレ!えっと………何だったっけ?」

「スイートきゅうり軍艦だよ!」


隣の子にツッコまれてしまいました。


「そう、それっ!! 本当に甘くてみずみずしくて、きゅうりじゃないみたいな上品な味がして」

「はっははぁ〜〜! そうだろ?何てったってこの店で自家栽培した特製のきゅうりだからな、そんじょそこらの野菜や果物とは比較にならねぇ程の旨味と甘味が凝縮してある自慢の一品なのよ!」


と、大将さんが自慢気に語ります。

確かに、自信満々にそう語るだけのことはあります。

本当に美味しいのです!

今までこんなきゅうりを食べたことなんてありません。


「確かにここの親父さんが作るこだわりのきゅうりは全国どこの農家を探しても同じものは作れないだらうな。私だって初めて食べた時から、こうした常連になっちゃったし」

「へぇ〜、そうなんですか!?」


このカッコいい子も、このきゅうりの虜になっているようです。

きゅうりだけでこんなに甘味を出せるだなんて、一体どうやって作ってるのかな?


「お嬢ちゃん、一つ覚えておくといいぜ。"こだわり"ってのはカッケェーもんだ!」

「な、なるほどーー!」


私はこの日、一つ学びました。




"こだわり"は、カッコいいっ!!



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