盲目の探偵
me-ot
盲目の探偵
暗い部屋の中。ブゥン。薄明かりが光る。
私は盲目の探偵。名前はサァフェイス。
今日も依頼者が座る。そして、相棒のコルタナと会話を始める。
「今日の用件は?」
「これは、コルタナ。こんばんは。今日は昨日起きた事件について聞きたいんだ。」
依頼人はコーヒーを飲む。
コルタナは昨日起きた事件の顛末を話し出す。
私は起き抜けの目を擦りながら、コルタナの話に耳を傾ける。
話が転調していく中で、私がコルタナに言う。
「待つんだ、コルタナ。少し考えさせて欲しい。」
待ちきれないような顔をした依頼者がコーヒーをまた一口。
少し時間がかかってしまったが、昨日の事件について考えてみた。
そして、私は答えを選び出していく。
可能性は10個あった。
「wikipediaによれば、、、」
盲目の私が何故wikipediaを知っているのか、疑問に思うかもしれない。
私の脳の中には多くの知識が詰まっており、そしてそれはネットとつながる。
その中でもっとも分かりやすい情報はテキスト、文字データを中心としたサイトだ。
話が逸れてしまった。
私は依頼人に事件の犯人について、10の可能性をそれぞれ提示した。
「これは、面白い。コルタナ、なぜサァフェイスさんは目が見えないのにこんなに沢山の情報を持っているのだ。
まるで情報が網のようにつながり、その無限に広がり続ける情報の中から正しい情報を掬い上げるんだ。
盲目の探偵、恐れ入るよ。ついつい毎日聞きに来てしまうね。」
「依頼人さん、それはサァフェイスさんがネットにつながっているからです。」
コルタナが答える。
「サァフェイスさんは盲目ですが、どこにいてもネットにつながり、すぐに答えを見つけ出してしまうのです。
ベッドの上でも、近くのカフェでも、オフィスでも、もちろんあなたの椅子の前でも。
時折、疲れ果ててベッドの上で寝てしまうこともありますけどね。」
(おいおい、コルタナ。僕が子どもみたいに電源がOFFになってしまうことは内緒にしておいてくれないか。)
「サァフェイスさんみたいな人でも、うちの子どもみたいなことがあるんだねぇ。」
「それにしても、今日は大変参考になったよ。とても面白い話を教えてもらった。」
依頼人のコーヒーカップはついに空になった。
そして、椅子から立ち上がろうとしている。
ブゥン。パタン。薄明かりが消える。また暗闇に戻る。
事件の続きを紹介できず、残念だ。
残りの力を絞って、最後に私の名前を紹介しよう。
私はSurface book。近々、日本で発売されるタブレット型PCの名前だ。
盲目の探偵 me-ot @me-ot
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