第3話
銀色のススキの門をくぐり、頂上までのなだらかな登りを楽しむ。振り返ると、眼下に町が広がる。アミが通う高校も見えた。遥か先には、澄んだ海も見える。
秋の山は静か。
アミの一番好きな季節だ。
登ってきた道を見下ろすと、下のほうでブンが腰を降ろしている。また扇子をだして、ばたばたとやっていた。
「先生ー。もう少しだから、休まないで来てくれません?」
「もう少し、もう少しって、君、さっきからそればっかりやん。もう少し詐欺やで」
「ほんと、もう少しだから。ここまで来たら景色がいいよ」
ブンは渋々といった態度で立ち上がると、腰に扇子を差し、一歩一歩と重苦しい足取りで登ってくる。
そんなブンを眺めながら、アミは先日の話を思い出していた。
『一声で呼ぶのは幽霊の呼び方、この世の者ではない呼び方なんですわ』
むこうがわの礼節 KAZUKI @kounokazuki
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