サラ・クレインへの取材

2016年6月4日 14時18分


コーヒーを飲み、腕のG-SHOCKを見る。そろそろかと思っていたら彼女は現れた。彼女の名はサラ・クレイン。事件を起こしたニール・ガーランドの同僚だ。彼女は、嬉しいことに快く取材を受けてくれたのだ。


「ごめんなさい、待たせてしまったようで」

彼女は申し訳なさそうに言うが、時間ぴったりだ。そんな謝るようなことでもない。

「いや、待ってはいないし時間ぴったりですよ。さあ座って」

彼女が座ったのを確認し、ボイスレコーダーを取り出す。


「さて、クレインさん。取材を受けてくれてありがとうございます」

「サラで構いません。私も思うことがあったので・・・」

どうも彼女からは色々聞きだせそうだ。そしておれはボイスレコーダーのスイッチを入れ、取材を開始した。


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サラ・クレインへの取材記録


「じゃあサラ、事件のことについて訊こう。君は事件のことを知ってどう思った?」

「それはもう・・・びっくりしました。彼があんなことするなんて思ってもいなかったから」

「ということは普段は粗暴だったとかそういうことは無かったんだね?」

「ええ、そんなことなかったわ。むしろ優しかったわ。ただ、この前から少し雰囲気がおかしかったの。だいたい事件の4日くらい前だったかしら」

「雰囲気がおかしかった?」

「明らかにおかしかったわ。顔が暗かったもの。事件の前日は挨拶も返してくれなかったわ」

「恋人にふられたとかそういうことかね」

「いえ、彼に恋人はいないわ。彼自身がそう言ってたもの」

「恋人はいない・・・となると一体何が彼を変えたのか」

「もしかして・・・」

「どうしたんだいサラ、何か思い当たることが?」

「いえ、断定はできないけど解雇通告を受けたのかも」

「なるほど」

「でもそれは私には分からないからリックの連絡先を教えるわ」

「リック?誰だいそれは」

「私たちの上司よ。彼なら何か知ってるかもしれないから」

「OK、分かった。ありがたく貰っておくよ。じゃあこれで取材はおしまいだ。もしかしたらまた取材に応じてもらうかもしれないけど」

「分かったわ。じゃあ彼の連絡先はこれよ。では、さようなら」

「ええ、さようなら。取材を受けてくれてありがとう」

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彼女は席を立ち、店を出て行った。おれもボイスレコーダーとテーブルに置かれたリック・ウェザリーの連絡先の書いてある紙を鞄に入れて席を立った。そして、コーヒー代を払っておれは店を出た。

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甘美なる復讐 尾形ザッカロニ @shokatu_komei

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